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「プロのバナナ」④

 おじいさんがバナナをうえました。
「ばあさん、ちょっと来てくれ。まごといぬとねことネズミもよんでこい」
「あらおじいさん、バナナはかぶのようなわけにはいきませんよ。プロにまかせたほうが」
「だがどこぞのサルなんぞを木にのぼらせた日にゃえらい目にあうぞ」
 そこにひとりの男がやって来ました。
「立派な木ですな。私は近所で採り入れの仕事をやっているのですが、今ならその足場をここに移動させるだけですし、モニターとして広告に使わせてもらえれば、お安くなりますよ」
男があんまり熱心なのでついお願いしてしまいました。クーリングオフもへったくれもありません。
 ところが足場にのぼって採り入れたというバナナ、なんだか変です。皮もないし黒っぽいし。何かの景品? 
そこへおしゃべりな近所のおばさんがやってきました。
「ねえあの人あたしの隣の台にいたわよ」
 どうやらおじいさんのバナナを叩き売ってそのお金で? プロはプロでもパ○プロだったようです。

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