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顔自動販売機 プリンセス編

 タワーの上のラプンツェルの黒電話が鳴った。留守電の機能はついていないようだ。
「ヘイ姫ちょっと顔貸してよ」
姫はいつものように『お断りよ』と書かれた紙ヒコーキを飛ばした。だがその紙ヒコーキには彼女の金髪が一本付着していたのだ。詐欺師はその毛から姫のDNAを取り出すとクローン姫を培養した。そしてATMに行き顔と指紋認証で姫の口座から現金を引き出そうとした。
「申し訳ありません、こちらは顔自動販売機です。顔と指紋のみでカードがないため、顔付きの紙幣はお出しできません、」
受け子は焦った。
「ただし10万円までの硬貨ならば」
ええい、それでいいよ! すると一円玉1グラム10万枚合計100キロが詐欺師の上に雪崩れ落ちた。
「ふふっ、お馬鹿さんね。さっきの紙ヒコーキが小切手だったのに」
いつのまにか背後に立っている姫。

 最上階の部屋の壁は警察からの感謝状で埋め尽くされ、タワ万の階下には大勢のクローンたちが住んでいるのだとか。

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散らかった硬貨は当番制で片付けているそうです。

たらはかに様のお題に参加しています。

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