騙せ林檎パン

下宿の大家さんミセスハドスンの料理はうまい。いつものようにコーヒーを味わっているとアップルブレッドの香りが漂ってきた。
「紅玉ルビーだな」
友人がひとりごちる。
「ここらのパン屋ベーカリで買えばいいのにパン屋街ベーカーストリートなんだから」
彼は答えず
「ヤツの仕業か」
と言う。
ヤツヒー？　
「おまたせ」
大家さんが料理を運んでくる。
「七面鳥の温火ぬルビ焼きですよ」
何だか美味しそうに見えない。
「林檎パンじゃなかったのか」
すると彼は『青い紅玉事件』ブルーカーバンクルケースが掲載された冊子を差しだした。「のちに柘榴石と訳されているようだ。だが犯人は」
犯人？　
「七面鳥に紅玉りんごを丸呑みさせたんだ」
「あら、それで林檎臭が」
「誰がそんなことを？」
すると彼は林檎の文字にカーバンクルとルビを振りパンと続けた。
「見たまえ」
木木木离カーバンク・ルパン。
うっ、あいつだったのか。でも七面鳥が美味くないのは林檎じゃなくて火の通りが緩いせいでは。
「あらゆる料理は、」
彼は小壜コカインを手に取る。
「所詮コイツの噛ませ犬に過ぎないのさ」

482文字

ルビも文字数にカウントされるのでしょうか？だとしたらオーバーしました😓　いちおう解説しますと、犯人はルパン、
カーバンク・ルを右から読むとル君のバーカとなり、それが彼なりの答えです。

たらはかに様の裏お題に参加しています。