見出し画像

「神様時計」

 あの頃はいつも朝でした。朝寝坊が好きなやつはずっと寝ていましたし、朝飯が好きなやつははずっと食べています。朝練とか朝活だってあります。もちろん朝飲みもアリ。朝のニュースに朝の体操。本当に爽やかです。お日さまは地平線から半分くらい顔を出すだけでよいので下半分はメイクも手抜きです。実に平和でした。
 でもそのうなると出番のないお昼と夕方と夜の神様たちは面白くありません。そこで一人の人間にこっそりと悪知恵を授けました。この地面をつっついてごらんよ、面白いことになるよ。言われた人間は必死で地面を鍬で耕しました。すると平らだった地面がモゾモゾと動きはじめました。まずい!と思ったときはもう遅く、地面ダンゴムシはクルンと丸まり球になってしまいました。そして自転しながら公転まで始めました。こうして時間というものが発生してしまったのです。腕時計の金属のベルトが腕に沿って丸まったり真っ直ぐ伸びたりする訳がわかりましたか?

406文字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?