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「サラダバス」③ お盆編

「このバスがいいねと君がいったから、」
「何よ、すぐ人のせいにするんだから」
ちょうど商店街の八百屋の前の停留所に夫婦二人でいたせいか、
「おやおや、なんとか記念日かい? せっかくのお出かけなのにケンカしちゃダメだよ」
と、近所のおばさんにからかわれた。
「違うんです、今年は義父の新盆でしょ、野菜を馬に見立ててお供えする代わりに夏野菜をカッティングしてバスを彫ろうと思うんです。お義父さんバスの運転士でしたから」
おばさんは目を丸くしたが
「そのバスって何人乗れるの? 良かったらうちの旦那や両親も一緒に連れてきてよ」
 そんなわけで私たちはきゅうりやナスやトマトや大根やその他の夏野菜をかき集めて、実物大の大がかりなバスを作成した。送り火を焚いたあとはきざんで塩とマヨネーズをかけてみんなで食べた。
 その夜夫の夢に義父が出てきたらしい。
「次は、空を飛びたいな」

あのー、ひょっとして、エアバス? 

サラっと言ってくれるじゃないのと思う。

410文字

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