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2次会デミグラスソース

 お局様の招集がかかった。殿方らが慰安旅行に行っている隙に女子会をしようというのだ。室内には洋風煮込みの香りが漂っている。
「二次会は盛り上がっているかしら」
「?」
「『二次会』『隠語』を調べてご覧なさい」
『宴会の後で同好の士が場所を変えて飲み直す。待合や遊郭に行くこと』
「私たちも楽しくやりましょう♪」
そんな気になれなかった。参列者は一人づつ手にした少量の香味野菜や香辛料を鍋に投入する。まるで御焼香だ。床に描かれたまじないの上に薄っすらと何かが浮かんだ。
「ううっ」
お局様の一の子分弥生さんが顔を覆ってその場を去った。

翌日帰宅した夫が
「ボロネーゼパスタが食いたい」という。
「ゆうべなぜか急にお袋の味の匂いがしたせいでみんな早く家に帰りたくなったよ」
弥生さんの話をすると
「ここだけの話部長のコレだよ五人目」
やれやれ。バイトで宴会場に呼ばれたときたまたま座ったのが部長さんの隣でなくこの人だったこと、初めて良かったと思ったわ。

410文字

余談ですが知人が旅行アプリで良さそうな温泉宿を見つけて予約した後で「〇〇屋」「ピンク」を検索してビックリ🫢お客様の声に「あまりの楽しさに食べるのも忘れてしまいました」とあり忘れられた品々が周ってきたらかなわん、とキャンセルしたそうです。


たらはかに様のお題に参加しています。

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