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オラオラするTシャツ手触り ①

 ボクのTシャツは兄のお下がりだ。兄は普段制服を着ているが合宿のため私服を用意することになった。年頃の男子のTシャツを買い慣れないママが「半額」の赤い文字だけに引かれてうっかりカゴに入れてしまった代物を見るなり兄は絶叫した。

「ダセエ! 勘弁してくれよ。オカンのセンス最低!」

確かに身につけるだけで面倒な彫りとか温泉問題など一切解決の便利な柄ではあったのだが。

「お前だけだよ。素直であたしに逆らわないのは」

自慢じゃないがボクの背中の手触りはコットン100なんて目じゃない。リメイクされた唐獅子牡丹は着慣れないボクには暑苦しかったが若い頃のようにバタバタブルブルあばれて脱ぐ気力も失せていた。いや暑さ寒ささえわからなくなっていたかも。

 今日ママンが死んだ。いや死んだのはボクだった? 太陽のせいか? もしかしたら異種人のボクはペストに倒れたのだろうか。オラ、オランの街で?


 結論から言ってボクは生き延びた。臍を噛みゆ。

410文字


ついつい暗くなりがちなので最後の一行を足しました💦


たらはかに様の裏お題に参加しております。

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