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1分しまうま ①

「見てごらん。面白いから」
お兄ちゃんが絵本を広げた。『錯覚のしくみ』とある。
「お前ペットを飼いたいって言ったよな」
「うん」
 お兄ちゃんはいつのまにか家に持ち込んでいた箱に入った白い子犬を示してさらに続けた。
「コイツはただの犬じゃない。世界一賢い犬種なんだぞ」
そこに現れたのはママだ。
「どう見てもミックスね。早く返して来なさい」するとお兄ちゃん、
「待ってよ、これはぼくら二人の犬なんだ。アキラ、この絵を1分間じっと見てごらん」
と、さっきの絵本を示した。そこにはシマウマのイラストがあった。白と黒のコントラストがきつくて目がチカチカする。1分が経った。何と! 白い犬の毛は一瞬シマウマ柄に染まって見えた!補色残像というやつらしい。ママの白いTシャツもストライプ柄に見える。「すごーい。この犬飼いたいよー、ねえママ!」
でもさお兄ちゃん、世界一賢いといわれるボーダーコリーというのは縞模様のコリーのことではないんだけどね。

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