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戦国時代の自動操縦 ①

 いまの人は楽でいいわねというのがその女の口癖でした。シングルマザーとしてこの町で生きることになって、各種手続きをしに行きその窓口で知り合ったのです。新幹線があればすぐ都会に出られるし、とにかくここはいい土地になったわねとも言ってましたね。彼女がどんな仕事をしているのか知らないけど子どもを抱えているようには見えないし、旦那もいたし、どうして私が楽だと思うのかわからなかったんです。確かに手当は貰えます。でもそれ以上に出ていくでしょ、ほら子どもってすぐにゲーム買ってとか言うし。あの女の部屋にもありましたねコントローラが。あんなもので遊んでるなんていったい幾つなのかしらあの人。だけどとうとう全てが明らかになる日が来たんですよ。

 取り調べをしている刑事はあきれた。
「それで自分は死んだフリをして保険金を受け取り、子どもには男を誑かさせてぬくぬくやろうと? その手口をまだ生きている柴田勝家とお市に学んだと言うんだな?」

409文字

たらはかに様のお題に参加しています。

こちらで拙作を紹介していただきました😊ありがとうございます😭

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