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ちょっと変わったグルメマンガ「ダンジョン飯」

グルメ系マンガを読んでいると、登場する料理を実際に食べてみたくなってきます。登場人物たちが美味しそうに食べている様子を見ているうちに、本当にレシピ通りに美味しく作れるのか、試したくなってしまう人もいるでしょう。

今回紹介する「ダンジョン飯」は、試したくてもそのままでは試せない、けれど食べてみたくなる料理がたくさん出てきます。

ダンジョン飯のココが好き!

謎を探索するファンタジーマンガとして、考察が捗るところ!

まぁ、とりあえず、あらすじを読んで見てください。

ダンジョン飯のあらすじ

典型的なファンタジーの世界観です。

人間の他にエルフやドワーフ、ハーフフット(小人)などの様々な種族がいて、交友関係にあったり対立したりしています。

そんな世界のとある島に、不思議なダンジョン(地下迷宮)が発見されました。そのダンジョンの奥にある「黄金の国」の財宝を目当てに冒険者が集まります。

主人公である人間のライオスと妹のファリンも、そんな冒険者として仲間たちとダンジョンに挑みました。

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ところがダンジョンの奥でドラゴンに敗北してしまい、妹のファリンはドラゴンに飲み込まれながらも、最後の力を振り絞って魔法でダンジョンから仲間たちを脱出させました。

ライオスは飲み込まれた妹が完全に消化される前に、ドラゴンを倒して蘇生させるために、ダンジョンに再び入ろうとしますが、仲間たちは脱出の際に荷物を無くしてしまったことを理由に離脱してしまいました。

それでも1人で挑もうとするライオスに、ファリンの親友だったエルフのマルシルと、報酬を前払いで受け取っていたハーフフットのチルチャックが協力を申し出て、3人で再びダンジョンに入りました。

作れないけれど案外作れそう、だけど……

ファリンが消化されるまで時間はありません。脱出の際にお金も無くなってしまったので、食料品を買えず、ダンジョンのモンスターを狩って食べる事になります。

そんな第1話に登場するレシピが「歩くキノコ」と「大サソリ」「スライム」で作った水炊きなのですが、そのイラストを見ると、普通の「キノコと伊勢海老の水炊き」にも見えます。

もしかしたら、歩くキノコをしいたけやエリンギ、大サソリを伊勢海老に、スライムを白滝にしたら同じような見た目で作れそうです。ネット上では実際に作ってみた人のブログや動画も出てきます。

しかし登場人物たちが述べる感想は、しいたけや伊勢海老を食べた時の感想ではありません。

見た目はともかく、その味を再現する事は難しそうです。

作れなさそうで案外作れてしまいますが、味や匂い、食感までは再現しきれない絶妙なファンタジーグルメマンガです。

長編ファンタジー作品としても重厚な作品

主人公たちの目的は、あくまで「ファリンの救出」で、一刻の猶予も許さないシリアスな状況のはずなのですが、

モンスターを食べる事に並々ならぬ執着を見せるライオスや、それを嫌がりつつも料理の美味しさを認めるマルシルなど、コミカルな部分が多いです。

ゆるゆると笑いながら、1話ごとに登場するファンタジーなグルメに、思わず喉が鳴る事もあります。

しかし、1巻、2巻、3巻と読み進めていくと、登場人物たちの過去や人間関係、ダンジョンの秘密が少しずつ明らかになっていき、ただ愉快なコメディマンガではない事が明らかになります。

そして5巻でかなりショッキングな展開となるのですが、それでも歩みを止めず、相変わらずコメディを交えてモンスターを料理しながら進んでいく一行に、クスリと笑いながらも頼もしさを感じるでしょう。

また設定の緻密さや伏線の張り方が見事で、既刊分を読んで改めて1巻を読むと、こんな最初からこの展開のヒントがあったのかと驚きます。

ファンタジー初心者だけでなく、読みなれている人も満足できる作品です。

感謝を込めて「いただきます」

「ダンジョン飯」は大冒険をしてお腹が空いて食べるという、現代を生きる私たちにも通じる「営み」を丁寧に描いている作品です。

自分を襲って来たモンスターを倒し、そのモンスターを料理して食べる。

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普段私たちが食べる料理も、元々は生きていた命を食べています。

それを「食べる」という事はどういう事なのか、少し考えることができる作品です。

一冊目 『聖☆おにいさん
二冊目 『テルマエ・ロマエ

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