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私の担当した本たち その1

 あらためてNOTEを見たら、すごいライターの方々が書かれていて、正直ひるんだ。で、何を書こうか考えて、これまで私が携わってきた本の紹介とちょっと裏話を載せていくことにした。

 私は今ではフリーでライターをやっているが、その前は出版社で編集の仕事をしていた。(そこに至るまでの話もあるけれど、それはまた別に)。

 私が出版社に転職して最初に上司に言われたのが、「これから自分で考えた企画(自前企画と言っていた)のうち、3本目までに増刷がかからなかったら、編集者としてそれまでのもんだよ」
 これまで出版企画書も書いたことがなかったし、書いてもらえる著者のツテもなかった。さらに言えば、本のつくり方もろくろく知らなかった私が、増刷かかる本をつくれるのか? たった3冊で。いやあ、入社したはいいものの、いきなりものすごいプレッシャーをかけられた。

 で、自前企画第一弾。はい、ダメでした。某野球選手の通訳を務めた方の英語本だったのだけれど、、某野球選手と一緒に写った写真を使わせてもらえないというアクシデントが。今考えると、押しが弱かったなと思います。
 第二弾。結婚本。やっぱりダメでした。

 2ストライク。「なんとかせねば!あとひとつしかチャンスがない!」という焦りと、「ああ、私はそれまでのもんで終わってしまうのか。。」というあきらめとがないまぜになりながら、担当したのが、この本だった。
『男が「大切にしたい」と思う女性50のルール―男はこう考え、女の「ここ」を見ている』
 https://www.amazon.co.jp/dp/4837963218/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_EAGZDbY9WB91Y 

「男性には遊びの女と本命の女がいる? ではその違いって何? どうしたら、ずっと本命でいられるの?」を男性の目線で書いてもらった。

 表紙でまたもめた。最終的には、カバーの色はピンク、イラストの線は黒になったが、当初、白字に金の箔押しで進めていた。ところが、最終段階で会社のお偉方が「金色なんか使って! こんなちゃらちゃらした本なんか、売れるわけがない! 本を読む人はもっと知的なんだ」と一蹴。イラストのまつ毛が長いのも気に入らなかったみたいで、「こんな頭悪そうな女性のイラスト(イラストレーターさんごめんなさい。そんなことないんです。まつ毛がくりくりなだけです。完全なる偏見です)で。もし売れなかったら、すべてキミのせいだからな!」とまで言われた。ああ、さらに追い詰められた。これでダメだったら、私はどうなるのだろうか。。入社したばかりなのに、また転職活動をしなければならないのか。。

 祈るような気持ちで本の編集を進めた。そして、いよいよ刊行当日。どうか売れますように……。割と売れ行きはよさそう。が、まだ増刷の連絡はない。同時期に発売された別の本の増刷は決まったというのに。。
 1カ月、2カ月……。「ああ、やっぱりダメか? ダメなのか? 私はこれまでなのか? 消えゆく運命なのか」と胃の痛む思いをしながら待つばかり。「3カ月で売れないと棚から消えると聞くしな。。」と思ったとき、「増刷決定!」の知らせがキター!!「重版出来」というやつだ。
 それを聞いたとき、うれしいと思うよりも先に、「ああ、これで私の首の皮はつながった。。」とホッとする思いが。なんだかどっと疲れが出た。

 おかげさまで、この本も今では10万部を突破し、ロングセラーとなっているようだ。こうして、私の本とともに歩む生活が一歩進んだ。それにしても、はああ、よかった。。あぶなかった。

 


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