短編小説・ホームレスの愛人 (2/2)
金持ちだったおっちゃんと、その美しい愛人だった私。私たちは煌びやかな思い出を引きずって今を生きている。
前・後編のその2。
【ホームレスの愛人 (後編)】
次の日、私はパートを休んでおっちゃんに会いにいった。
おっちゃんは私の腫れ上がった顔を見て驚いたみたいだったけれど、何も聞かなかった。
「まずは酒でも入れるか」おっちゃんは言った。
「ねえ、競馬に連れて行って」私は言った。
「けいこちゃん、それは安易すぎる」おっちゃんは言った。「何があったか知らないけど、競馬で儲けてどう