「注意欠陥/多動(ADHD)ですねと診断されて悩みが一気に解決に動いた話」2022年8月5日から数日の日記

・この日からのことは1年くらい経ったら書いとこ!!!と思ったので(シンプルな怠惰により日記が溜まったというのは置いといて)、自分用の記録として書き残しておきます。


おことわり

以下に書くことはわたしの個人的な体験談で、とてもとても個人差の大きいことなので、詳しい話は専門家の意見をきちんと聞くことが何より大事です!!!!!!




入社以来のスーパービッグ悩み

・大学を卒業して今の勤め先に入社してしばらく、しばらくというのは本当にこの日までの5年間くらいず〜〜〜っと、「あまりにもうっかりミスやケアレスミスが多すぎる!!!!!!!!」ということに悩み続けていた。


・メールや文章の見落としが多すぎるはもちろん、口頭で指示を出されても別の仕事をしている間にいつの間にかその指示は記憶の彼方に…ということも日常茶飯事。
・思い込みで失敗することも多く、きちんと確認すれば良いものを「確かこうだったはず」で動いて結果的に手戻りになったり失敗したりすることも数えきれないほど。

・「指示を出されたら忘れないうちにすぐメモをしよう」と思って付箋にメモをすれば、一瞬でその付箋ごと無くすか、メモしてもメモを見返さないので結局意味がない。

・予定をカレンダーアプリに入れればなぜか(本当になぜかなので原因とか無い)日や時間を間違えて入れていたり、セルフチェックはザルなので、わざわざ上司に指摘されるレベルじゃない誤字脱字や間違いが多発する。

・優先順位が決められない、わけではないけど、優先順位という概念とは全然別に、やりたくないものや興味のないものは無限に後回しにするので、結果的に外から見れば優先順位が決められてないように見える。そして後回しにしたものは忘れていくので、後から指摘されて「やってない!!」と大騒ぎし、人に迷惑をかけることになる。


・・・・・・。


・・・このままでは、このままではいつか自分のミスで取り返しのつかない大事故を起こす・・・・・・!!!
それは仕事での可能性も大きいし、普通にプライベートでも様々な場面でやりかねない。


・わたしの危機感は日々、生ものを閉じ込めたビニール袋が日々腐臭で膨らんでいくくらいのペースでゆっくりゆっくりと、しかし確実に腐臭を周囲に撒き散らしながら大きくなっていき、不安にかられたわたしはついに受診することにした。

心療内科を。


・このあまりに改善できない状況が自分の特性や偏りによるものだとはっきりすれば、そのためのアプローチができるはず。逆にそうでないと分かれば、きっと努力で改善できるはずだと信じてまた別のアプローチができるはず。

・自分のスキル不足なのか、それとも自分の特性の問題なのか、その切り分けをはっきりさせたくて、わたしは事前にネットで色々とリサーチして、この手のことについてよく話を聞いてくれて親身に接してくれると評判の良い都内の心療内科を数週間前に予約し、この日、受診したのだった。


・受診をしばらく、半年以上くらいずっと悩んでいたのは、こんな悩みが出てきたのは社会人になってからで、子供の時、別に勉強は苦手じゃなかった、というかむしろ好きな方だったし(数学以外)、学生時代もどちらかといえば「ちゃんとしてる」側のタイプで、社会人になって自分がこんなに些事に手こずるとは正直思えなかったので、はてこれはどういうことだろうという思いがずっとあったのだった。

・が、そうも言っていられないほどに心配の腐臭が耐え難くなり、受診に至ったのだった。


で、「注意欠陥/多動(ADHD)ですね」と診断される

・決して家から近いとは言えない都内の心療内科に来た。

・受付した番号を呼ばれて診察室に入り、先生と対面する。


・初診の申込みの際に大方の要件は伝えていたので、今回の要件の確認があった後、わたしの今の仕事内容について、今困っていること、受診しようと思ったきっかけ、どんなふうに改善したいかということの概要を伝えた。

・先生は前評判どおり真摯に聞いてくれて、一通り話したあとで、30問くらいの簡単なアンケートが書かれた紙と、ボールペンを渡された。

・注意欠陥/多動という症状は病気ではないので、特定のウイルスを検知して診断することはできない。現在から子供時代まで遡って、様々な角度のヒアリングを通して、行動や思考の傾向から診断を下すしかない。

・渡されたアンケートのような紙もその傾向を確認するためのツールの一つで、具体的な設問は忘れてしまったけど、「うっかり忘れが多い」とか「優先順位を決めるのが苦手」のような設問に対して「よくある・たびたびある・あまりない・ほとんどない」みたいな感じで、設問の事象がどれくらい頻繁にあるか、あるいはどのくらい自分の性格に当てはまるか、というような尺度を測る問題が並んでいた。


・回答の尺度によって配点が異なっていて、全問答えたあとでその合計点を先生が計算する。
・点数は100点満点で、80点や90点の人は入院が必要なレベルの重度さ。普通の人でもたまにうっかりミスをしたり物忘れをしたりすることはあるので、普通の人の点数が10点以内くらいだそう。

・で、わたしの点数。



・40点以上(40〜45点の間だった記憶)。



・ワ〜オ。(昔のUSJのCMの声で)


・この点数だけじゃなくて、それまでのわたしの問診の内容も総合的に判断して、先生からは「注意欠陥/多動、いわゆるADHDの傾向がありますね」とのことだった。


・診断には納得したのだけど、疑問もある。ここで先生に「でも子供時代や学生時代は今みたいな悩みはほとんどなくて・・・」と話してみる。
・そこで先生と話しながら昔のことを思い出して、どうして社会人になってようやく気づいたんだろうか?ということを深堀りしていった。わたしみたいに、大人になってからこういう傾向に気づく人は少なくない、というか結構な割合いるのだそう。


・小学生時代のわたしは、どの教科も授業自体に興味があったので先生の話もよく聞き黒板もよく見ていて、授業の内容にはついていけていた。一方で、友達の発表する内容には全然興味がなく(発表の内容に興味がないだけで友達のことはみんな好きだよ)、そして勉強は得意で問題の答えがわからないようなことはほとんどなかったので、手を挙げた人がランダムに当てられる授業の場合には「早く自分に当たらないかな〜(そして正解を言いたいな〜〜)」ということだけ考えていた。

・思えば人の発表は全然聞いてない。


・授業から離れて、例えば全校集会で校長先生のお話があれば、話を最初から最後まで聞いていることも時にはあるけど、話の途中で自分の興味のあるワードが聞こえると、そのワードを発端に自分の中で永遠の想像・妄想が始まって、それ以降の話を全然聞いてないことがたびたびあった。

・今でも覚えているのは、わたしは小学校4年生の夏休みに1週間の宿泊教室に行ったのだけど、それは夏休みが近づいた時の全校集会で、校長先生が話のつかみとして話題に出したのだった。
・その話が出た時から、わたしはそれに行きたくなって頭がいっぱいで、頭の中は焼津の海。カヌーとキャンプファイアー。焼津港の実習船に乗ってる想像でいっぱい。それ以降の先生の話は何も聞いていなかった。(実際に行った宿泊教室はとても楽しかった)


・興味のあることはしつこいくらいに好きになるけど、興味のないことや一旦興味があって想像に夢中になってる間に発せられたことは一切聞いてないという特性は、小学生時代からバッチリ出ていたのだった。


・で、学生時代。
・「友達と遊びの待ち合わせをして、時間通り全員が集合できることは稀だったんじゃないですか?」と先生に聞かれた。

・それはその通り、というか、その通り過ぎて、わたしは「複数人での約束は時間通りいかないもの」という常識の中で生きてきたので、先生のその質問には「確かにそうですね」と答えつつ、「(むしろ世間の人はそんな当たり前みたいに時間通り複数人が集まってるんですか?)」と逆に疑問に思っていた。

・わたしは約束する友達によって、「この子はいつも15分遅刻で来るからそれくらいに出かけるか、もっと早く出てどこかで1時間時間を潰してれば大丈夫」とバッファの予測をして家を出たりしてて、実際ほぼその通りに遅刻の連絡が来るので、約束の集合時間に対してはそういう心の読み合いが”待合の美”だよねくらいに思っていたのだが、どうやら世間は違うらしい。

・要するに、わたしが学生時代にこういう特性に悩まなかったのは、周囲にもそういう特性の子が多くて「ただただお互い様」で成り立っていたからということ。あまりにも良すぎる結論。わたしは学生時代の友達がより一層好きになった。


・そういうわけで、わたしは自分の特性がはっきりし、これまで仕事で悩んでいた色々なことにまとめて説明がつくようになったのだった。


薬をもらって強吐き気と引き換えに脳内にメンソールが炸裂する

・わたしは投薬による特性の改善を要望したので、先生との問診の末、ADHDに効果のある複数の薬のうち、依存症の心配が無い「ストラテラ」というお薬と、その副作用として強く現れる吐き気に対応するための「ドンペリドン」というイカつい名前の薬をもらった。30日分。

・「ストラテラ」というのは先発品の商品名で、実際にわたしに処方されたのは後発品なので、成分の名前がついた「アトモキセチン」という名前の薬である。
・ちなみにADHDには他にも「コンサータ(メチルフェニデート)」という薬も有名でたびたび処方されるけど、わたしは日中の眠気には困ってないなど、わたしの困っていることに対しては今回はコンサータではなくストラテラの方が合っていると診断された。

・翌日から薬を飲み始めた。

・朝食後に1錠飲む。吐き気が出るのが怖かったので、すぐに吐き気を和らげる薬(ドンペリドン)も一緒に飲んだ。


・・・・なんともない。
・別に頭がはっきりするかというと、それほど変わった感じはしないし、心配していた吐き気も全くない。

・服薬1日目は何事もなく、安心無事に終えたのだった。


・2日目。

・前日が大丈夫だったこともあり、朝食後に飲んだのち、吐き気止めは飲まずにそのまま会社に行った。



・死



・まごうことなき「死」そのものを体験した。


・まず午前中のうちに強烈な吐き気に襲われて、下着が意味をなさずワイシャツが全身汗でぐっしょりになるくらい最悪な冷や汗をかいて、会社のトイレで1時間近くうなだれていた。

・とても仕事どころではないが、気分が悪すぎて歩いて帰ることもできない。

・吐き気の峠を超えたところでフラフラと自席に戻り、吐き気止めを飲んで、ようやく吐き気レベル(100でリバース)80〜90を行き来していたのが、40〜65くらいの振り幅に収まった。
・体調は最悪だけど、ひとまず会社員としての平静を装っていられる程度にはなった。


・体調が最悪な一方で、脳みその前側、前頭葉の前半分、おでことその少し上部分あたりの場所に、脳内にすりつぶしたミンティアの粉を撒いたみたいに強烈な清涼感があり、目の前の仕事に対して「この仕事の後こういうことが必要だろうから、今からこういう準備が必要だろうな」とか、「この仕事をするときはこういうところを間違えるかもしれないから気をつけよう…」というような、今まで考えもよらなかった注意喚起や未来予測が、ほぼエスパーの力を手に入れたみたいな感覚で頭が回るのでびっくりした。
・びっくりしたのと吐き気がすごいのとでこの日は腰に力が入らなかった。


・3日目以降。

・吐き気が最悪だったのは2日目がピークだった。とはいえ、3日目以降も常に吐き気レベル40〜60くらいの、ちょうど無視できないイヤ〜〜〜な感じの悪心をほぼ半日にわたって抱え続けるという状態を、この先数ヶ月、(途中薬を1錠から2錠にしたこともあり)半年くらいの期間抱え続けることになる。


・一方でやはり脳内はメンソールを撒いた状態で、集中力に関しては明らかに違いがあり、仕事に関しては先ほどの、自分にとってはほぼエスパーに近いような注意力や予測の行動ができるようになって、端的にいえば我ながら言ってしまうけど以前と比べてものすごく仕事ができるようになった。(会社レベルで言えばようやく普通レベルになってきた)

・とは言え、元々、わたしは自分の会社の社員の「当たり前」のレベルは世間と比較してすごく高いなと感じていたので、会社員5年目にして、ようやくそこに食いつくレベルの仕事能力を手にしたのだった。


受診して良かったこと

・①自分の苦手の切り分けができた
・これが一番大きい。

・自分の苦手に対して、「この仕事って向いてないのでは…」「自分の能力って人と比べて低すぎるのでは…」って悩んでいたけど、自分の得意不得意には偏りが大きいことがわかると、「これは薬で改善しよう」「これは努力で改善しよう」という、苦手の切り分けができた。

・すると、悩んでもしょうがないことに悩まずに済むので、より自分の得意を伸ばすことに意識を集中できる。


②服薬によって思考が劇的ビフォーアフターする
・これは人による個人差が大きいところだと思うけど、少なくともわたしの場合は、ストラテラという薬は劇的に効果を発揮した。
・これを書いている現在はすでに服薬から1年以上が経過しているけれど、いまだに飲む時と飲まない時とでは集中力や意識の向き方に圧倒的な差が出る。(飲まない日は一瞬でものを無くす)

・今ではようやく副作用の吐き気がなくなって、アイデアをたくさん出したいときには薬を飲まずに、元々の特性を活かして突飛なアイデアも含めて数多く出す。普段の仕事があるときや、プライベートでも冷静、堅実に物事を進めたいときには薬を飲んで集中力アップモードにする、というような使い分けをして、創作の世界を趣味にもつ自分としてはかなり良いお薬との付き合い方ができていると感じている。


悪かったこと

①とにかくキツい副作用
・これが全て。
・これも個人差が大きいところだと思うけど、ストラテラはとにかく吐き気が強くて、しかも長期間続くので(わたしの場合は半年くらい経ってようやくなくなった)、薬を飲み続けるというハードルが高いように思う。

・ストラテラは効果の強さや持続する時間によって最大3錠まで増やすことができるのだけど(わたしは2錠飲んでいる)、1錠で慣れてきても、2錠にした瞬間、1錠を飲み始めた時とは比にならない最強吐き気に悩まされたりして、自分の特性を改善したいという強い意志がないと定着しづらい人もいるのではないかと思う。


伝えたいこと・まとめ

・自分の特性に悩んでいたり、ネットで情報を聞きかじったりして「もしかして自分も・・・?」と迷っているところがあって、そして現状を改善したい気があるのなら、そういった特性を自称するのではなくて、すぐに心療内科や精神科を受診することを個人的には強くおすすめします!!!
・自分の悩みに客観的な診断がされて、切り分けができるようになるという心理的な安心感は大きいし、薬で改善できる失敗もあるということも知られてほしいな〜と思います。

・一方で、こうした特性はインターネット、特にSNSとは非常に親和性が悪いように思います。
・たびたびこうした特性について語られた投稿が、批判的な意見に囲まれた炎上を見かけてきたのですが、こうした特性は当事者自身も理解が不十分なことも多く、ちょう〜ど、ネットで叩きたくなるような、あるいは露悪的にさらけ出したくなっちゃうような、ついつい物申したくなっちゃうような、人間の心理のスイッチを押しやすい構造になっちゃってるのだと思います。


・そういうわけでわたしは自分自身についてはこの、比較的クローズドなnoteでしか書いてないし、かつ服薬して1年以上が経過してから書いているし、診断されて少ししてこのことを伝えたのは会社の2,3人の信頼した同僚と、同じく2人程度の友達にしかカムアウトしてないので、ほとんどの人は知らないはずです。


・最近はもう少し、理解を広めるために表立ってもいいのかな〜…とも思ってはいるのだけど、その活動をするとしても、最初はかなりクローズドな範囲でのスタートで、SNSで告知して、みたいなことは少なくともしばらくはしないはずです。
・この日記には今後、この途中経過だったり「仕事でこういう工夫をしたらうまくいった!」ということを記録していこうと思います。


・どうすればADHDへの理解が広まるのだと思う?

・どう思う?


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