見出し画像

伝える事の出来ない悔しさ

場面緘黙症で緘動(かんどう)症状が強く出てしまう我が家の末っ子三女ちゃん。
そんな彼女もいよいよ小学校卒業を迎える年になりました。過度の緊張や不安から身体を全く動かせなくなる娘に、卒業式はどうしたものかとこの一年間悩んでおりましたが、
『皆と同じように卒業式に出て卒業したい』
という本人の意志と周りからのサポートを得られるという事から、今週から本格的に始まった卒業式の連絡に参加しています。

勿論、練習と違う本番の式場の雰囲気等から緊張と不安が強くなって動けなくなるという事態が起こりうる事も前提に、ひとまず総練習まで行えるかの様子見でもあります。今週末には学校側からの提案で、一度私に練習を見てもらい、サポートや彼女の動線、配置やらを入念に計画相談していくという方向になりました。小学校最後のメインイベントを彼女の成功体験にしてあげたいという思いと、全員がいい気持ちで卒業出来るようにという、学校側からしても正にプレッシャーとなるものでしょうから、この提案は非常にありがたいものです。

小学校風景 〖蝋梅〗

クラスメイトが動けなくならないように誘導してくれたりと、なんとか今のところ娘は動けて練習出来ているようです。朝の誰も居ない体育館で、先生と証書授与から動線、配置まで身体が覚えるまで何度も練習しているようです。

さて、そんな中、昨日久しぶりにお昼過ぎに学校から電話がかかってきました。ここのところ順調に動く事が出来ており、給食も食べれていたので、『なんだろう?』と不安に駆られながら電話に出ると、担任から
『朝から動けていたのですが、給食のときにいきなり固まってしまい、色々聞いてはみたものの訴えがわからずで…体調不良やトイレも考えたのですが熱は37℃で微妙なとこだし…トイレも×を指差したので違うし…ひとまず給食が食べれないままで5-6時間目の卒業式練習は出れないし、涙を浮かべてしまいまして…すいませんが早退のお迎えに来てもらえますか?』と言われました。あれこれ考えられる事を私も聞いてみましたが、担任も私も分からずじまいで、とにかく泣いてしまうだなんてかなり久しぶりで余程の事かと先生も心配になった模様。

結局早退となって落ち着いてから、フィードバックしてみると
・うどんの袋がキツくて開封出来なかった
・その事で時間が経ってしまい給食時間が足りなくなった
・給食を減らすかどうか先生に聞かれて、時間内に食べ終えれるかどうかがわからず悩んでる内に身体が固まってきた
・先生に色々質問されたけどその事を伝える事が出来なくて、○×で返せる質問には無かった事だから伝えれないのが悲しくなった
・早退せずに5-6時間目の卒業式の練習に出ようと思っていたから、早退する事となり悔しくなった
・その事を全部口に出して伝えたくても声も出せず動けなくなって悲しくて悔しくて泣けてきた

という事だった。帰宅後、体調はどうか、ご飯は食べられたかと先生から電話がありこの事を伝えておいた。
給食は残してもいいよ、と伝えたとこで彼女の性格からするとそれが良い事とは思えないだろうから、娘には給食時間に間に合って食べれるか心配になって減らすかどうか迷って動けなくなるくらいならば『減らす』を選択しよう!それで時間内に食べ終えれたらいいし、お腹空いたら帰宅後おやつをいっぱい食べたらいい、と提案してみた。

毎日のようにみてきた光景
動けない時はずっとこのままで
どんどんうなだれていく

声に出して伝えるとか他者に対して言語・非言語的コミュニケーションのどちらもうまくとることが難しい娘は、こうして伝える事の出来ない悔しさや悲しさを幾度となく味わってきているが、こういった経験から、自分で何とかしなきゃ、と少しずつ乗り越えていくことに繋がるのだと私は信じている。娘にも乗り越えていく力があるはずだと信じている。だから娘にもこれは悪い方にばかり考えずに、むしろいい経験をしたと思って、その問題を乗り越えていけるように自分でも少しずつ頑張るのだよ、と伝えた。勿論、周りでもサポートしていくけれどね、と。娘はうんうんとうなづいて聞いていた。

私も先生も娘が泣いた理由を聞けて、娘の『卒業式に出る』という強い意志を改めて感じられたし、その気持ちが何よりも嬉しかった。何年も普通級の生徒と同じように各行事に参加したり、人前に立ったり、発表したりといった事に困難を極める娘であるが、だからこそ卒業という最後の行事こそは頑張った姿を私や先生に恩返しとして見せたいという思いに母はもう涙したのであった。

今朝の三女。朝からしっかり動けてます。

卒業式まで2週間きりました。
どうなるかわかりませんが、母に出来る事は今はただただ頑張る娘を温かく見守り、体調に気を配ってあげるのみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?