「と」の力=持続可能性

日本初の銀行を設立した渋沢栄一が唱えた「論語と算盤」。この思想の現代意義はサステナビリティ(持続可能性)であるという持論を私は解釈しています。論語「と」算盤は、未来に進んでいる車の両輪であり、片方が大きくて、片方が小さければ、真っ直ぐ前進することができません。

「か」(or)は効率性を高めますので、組織運営には不可欠な力であり、物事を分析したり、買い物でも「か」の力は大切です。

ただ、「か」の力は隔離することです。隔離すれば、それ以上の化学反応は起こりません。

一方、「と」の力は一見矛盾です。「どうやって論語「と」算盤を合致させるんだ。」「公益「と」利益の両立なんてできないだろう。」このように正しい答えが直ぐに見えないかもしれない。そんなこと、やっても無駄だけ。

けれども、異分子であっても、「と」の力で合わせることの試行錯誤を繰り返せば、ある時、ある条件が整っていたら、新たなモノの創造、つまりクリエーションへとつながる可能性が、そこにあります。

サステナビリティとは持続「可能性」です。ひとつの正しい答えがある訳ではない。色々な試行錯誤を繰り返し、新たな創造へとつなげることです。

こんな話を10∼15年ぐらい、講演や執筆活動で継続してきましたが、最近は「化学反応」を感じます。

本日、日経新聞の「創論」を見て、へえ、、、と思いました。米バンカメのモイニハンCEOが株主還元「or」公益ではなく、「and」と唱えているのです。同氏は「論語と算盤」を読んだことないでしょう。ただ、このようなシンクロニシティが世の中で起こっている。ということは、「ある条件」が整ってきたようです。

現在、世の中は新型コロナ・ウイルスのパンデミックにより隔離「or」の対策を取っています。これは必要な善策です。ただ、人が動けない、集まれない「か」の状態が続けば、経済社会への打撃は計り知れないです。

サステナビリティには「と」の力が不可欠です。

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