NISAの2階建てで政策目的を果たせるか?

NISA制度の刷新は急務です。しかしながら、「2階建て」という方針は残念ながら評価できません。制度の普及のために必要なのはユーザー視点での簡素化です。色々な意見を取りまとめるための妥協である複雑化は、本来の政策目的を達成できないリスクが高まると思います。

簡素化という側面では答えは極めてシンプルです。現状のNISA、ジュニアNISAを廃止して、つみたてNISAの恒久化および未成年にも適用する一本化という刷新です。

NISAを廃止しなくて、2階建てという複雑化を増す制度にする方針を示している理由は国民が「株やってる」ことで手数料収入を得る業界への配慮であると推測します。つみたてNISAは金融庁から認定された投資信託しか適応されなく、その条件として販売手数料がゼロでなければなりません。これでは、業界が儲からない。

しかし、NISAという制度は業界のために施行された税優遇制度ではありません。国民のためです。その政策意図は「貯蓄から投資へ」。人生100年の生活を踏まえ、今まで貯金しかして眼中になかった国民が、長期的な資産形成のために、少しずつ投資に目を向けるための呼び水です。既に「株やってる」層への税優遇制度ではないはずです。

NISAの刷新は必要です。でも、それはあくまでもユーザー視点のためです。「2階制度」が、本当により多くの様々な世代の国民を「貯蓄から投資へ」と動員する制度設計なのか。

しっかりと吟味していただきたいと思います。

#COMEMO

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?