登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(24)」からです。
・障害児にとって、信託不動産に対する第三者の債務のための抵当権設定が、利益になる具体的な場面を、思い浮かべることが出来ませんでした。
・登記手続上、現在の受益者、またはその他の信託条項の次順位の受益者の欄で、障害児が特定せれているかが分からないと、判断するのが難しいのではないかと感じます。
なお、記事で検討の出発点とされている、昭和41年5月16日付け民甲第1179号民事局長回答は、不動産登記令20条8号により、信託法4条違反を根拠として却下とされています[2]。
受託者の権限に禁止事項を規定し、例外を列挙するか信託の変更で対応しようとする様式に思えます。
受託者の権限を限定列挙し、想定外の事態に信託の変更で対応する様式の方がシンプルなのかなと考えます。
今後判例、裁判例が出てきて変わるかもしれませんが、民法上の信義則違反、公序良俗違反を除いて、信託法を根拠として無効とする場合は、2条、3条、4条、5条、7条、8条、9条、10条に限られるのではないかと思います。
[1] 907号、令和5年9月号、テイハン、P43~
[2] 河合芳光『逐条不動産登記令』平成17年、きんざい、P121