入社初日に退職する人々(4)

みなさま,こんにちは。

いつも,ご清読ありがとうございます。

ゴールデンウイーク明け, #退職代行サービス を用いて退職なさる方が多くいらっしゃったようです。
そのなかには,いわゆる #24卒 の方(西暦2024年3月に学校を卒業して直ちに就職した方)もいらっしゃったようです。

 #退職代行サービス を用いて #初日退職 なさった方もいらっしゃったようですが, #退職代行サービス 利用の是非を,私は申し上げません。ただ,疑問に思ったことがあります。

#退職代行サービス とは, #労働者#任意退職 #自主退職 をするために,退職を希望する #労働者 のために #使用者 に掛け合うことを業とする者のことです。しかし,この #退職代行サービス の位置づけに,私は疑問を持ちました。

#退職代行サービス が退職を希望する #労働者 の依頼に基づいて #使用者 に対して依頼者の退職の意思表示を依頼者のために為すことは理解できるのですが, #退職代行サービス 業者が依頼者の代理人(本人の身代わり)なのかそれとも使者(使いの者)なのか。

代理人と使者とは表面的には似ているように思われますが,実際には全く別のものです。
代理人は,その付与された権限内において代理人自身の裁量に基づいて自ら動くことができます。そして,法律上代理人の行為は,代理権を付与した者(本人)によって為されたものとして取り扱われます。
しかし,使者は,そのような裁量を有しません。単に,頼んだ人の手足となって頼んだ人の指示に従って動くだけです。

民法第99条第1項 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

民法 | e-Gov法令検索 より引用

少し法律学(法学)に基づいて申し上げる時間をくださればさいわいです。
代理人について申し上げますと,「行為能力」は不要ですが,「意思能力」は必要とされます。
他方,使者について申し上げますと,【民法上規定はありませんが(講学上)】「行為能力」「意思能力」両方不要とされます。
行為能力:自立して法律上意味のある行為を為す,法律上の資格
意思能力:何らかの具体的な意思を持って法律上意味のある行為を為す,法律上の資格

#退職代行サービス の事業者は,依頼者である退職希望労働者の退職の意思表示を,依頼者本人に代わって #使用者 に「電話で」伝えているようですが,架電に際して当然委任状又はこれに準ずる事業者の権限を証する書面を相手方である #使用者 に対して示すことは不可能です。そうしますと,退職の意思表示を受ける #使用者 にとって,架電連絡をしてきた事業者が依頼者の #代理人 なのかそれとも #使者 なのか,知ることができません。

もし,私が #退職代行サービス 事業者からの退職の意思表示を受ける側に立っていたとすれば,この点を事業者に対してツッコみを入れます。代理人か使者かわからない第三者から退職の意思表示を受ける理由がないだけでなく,そもそも本人の真意かどうか判断できないからです。

ここから,私の想像と身勝手な私見に基づいて申し上げます。
退職希望労働者と #退職代行サービス 事業者とは当然ながら契約したうえで,退職の意思表示を伝達するのでしょう。ただし,その契約が 民法上の #委任契約 なのか,民法上の #請負契約 なのかは,わかりません。また, #退職代行サービス 事業者が退職希望労働者の(任意)代理人なのか,それとも単なる使者なのか,わかりません。結局,退職希望労働者の真意か否か判断できないので,「( #退職代行サービス 事業者に依頼したものの)円満に退職できなかった」という事態が起こり得るのだろうと思います。

他方で,指摘したいことがあります。それは,「 #退職代行サービス を使った退職が試みられた」=「退職希望労働者の #使用者 #経営側 に対する不信(感)」ということです。もし,過去に #退職代行サービス を用いて退職した労働者がいらっしゃるのであれば,労使関係の見直しが必要とされると思います。

#退職代行サービス も,玉石混交のようです。もし, #自己都合退職 に際して #退職代行サービス を使おうとする場合,使うか否かと使う場合における業者の選択とは,すべてご自分の責任に委ねられます。それらの点を十分に踏まえて選択なさることを,進言します。
意外と知られていませんが,「退職する」と一口に申しましても,使用者側にもさまざまな手続きの負担が生じますから。

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