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ふと目を上げると、泣きたくなるような景色

一杯のお茶と、些細な談話から 生まれた閃きの小さな灯を 消えないように、消えないように 胸…

シラトリーヌ
3か月前
9

かなしみを味わう

かなしみを味わう 「わたしって、なんてダメなの?」 ハチミツをかける 「なんでこんなにう…

7

沈黙の日は
対話の日だ

わたしの中のわたしに
なにが欲しいか訊いてみる

あれもこれもほしいけど
ほんとうはなにもほしくない

やがて音叉の高い響きが耳をふさぎ
朝靄の白い重力が瞼にのしかかる

わたしは抗わず 
毛布の巣に戻り
ふたたび深く沈もう

4

毛布を脱ぎ捨て走りだす

固い地面を踏みしめる足でマグマの熱を吸い上げて

氷点下の白い夜にこの命は熱く燃え上がる

5

泣かない人生を目指していたけど、そんな必要はなかった。
大人は泣いてはいけない、なんてことはないし、泣かないのが偉いなんてこともない。

悲しみも感動も、いつも突然やってくるのに、涙を抑えてなんかいられない。

3

別にもう守るものなんてないし
ひとりでのたれ死んだってそれはそれで良い人生だったって言えるし
死んだあとのことなんか知らないし

つまりは自由
つまりは何も、心配ない

3

自分で選んだこの生活を、愛している

少しの間、眼鏡を外して
焦点の合わない景色を眺めるのが好きだ

2

今は今のためにあって
自分は自分のためにいる

2

「無題」

淡い光
不思議な雲
変わりゆく色彩

今日が休日で良かった
ということ

2

「帰路」

喧騒をあとにして
西陽にあたたかく染まる景色へ帰還する

ああ、家に帰るって素晴らしいことね
そう何度も言っていた彼女を想う

2

海鳴り2

怒りの海で溺れ
打ち上げられた浜辺に
揺れる灯はやわらかく 温もりを帯び

今なお よせてはかえす さざなみの音を
胸の奥にたずさえ

果てしない群青の平原の向こうに
置き去りにした人たちと
再び会える日を望む

2

「胸が熱くなる」

紅く固化していた感情が
瑠璃の青さを取りもどしていく

電話の声をつまらせた日も
車窓の遥かうしろに流れて

今は言葉を纏わない透明な涙が
頬をつたい手のひらに落ちるだけ

4

海鳴り 幾千、幾万ものモラルに汚れきった海に背を向け 血を滲ませた耳から入る声が優しさなのか、諭しなのか 判別もつかないまま、足をとらえようとする砂をふりはらい ただひたすらに、美しい貝がらだけを選びとっている