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18-19シーズンのアイントラハト・フランクフルトを振り返る(前編)

こんにちは、お久しぶりにnoteにやってまいりました、しおんです。しかもこれまで書いたこともないサッカーの記事で帰ってきちゃいました。まさかサッカーに関して、Twitter以外で何かを書こうとするとは思いませんでしたね。なんたってゆるふわサッカーファンなので、基本は試合を楽しめればいいと思っているし、戦術とかも(勉強はしようと思ってるけど)全然詳しくはないですから。でも、18-19シーズンのアイントラハト・フランクフルトの健闘ぶりについてはやっぱり、何かを書き残しておかねばならない、そう思わされてしまったんですよね。

とはいえ、私がアイントラハト・フランクフルトというチームを応援し始めたのは大好きな長谷部誠選手が移籍した2014年からで、実はまだ5シーズンしか追っていない身であったりします(高原と稲本が所属していた記憶はありましたが、当時はただの代表ファンでした)。なのでまだまだファン歴は浅い方であると思いますし、この記事もあくまでひよっこファン視点からのものとなります。でもこの5シーズンの間に降格危機からポカール優勝、ELベスト4まで味わってしまったので、なんだか異様に濃い経験をしているような気がしますが……笑。

シーズン序盤は不安定だったフランクフルト

さて、このように5シーズンの間に様々な経験をさせてくれているアイントラハト・フランクフルトですが、18-19シーズンはチームを降格危機から救い、ポカール優勝、そしてEL出場にまで導いてくれたニコ・コヴァチ前監督をバイエルンへと送り出し、スイスのヤングボーイズを率いていたアディ・ヒュッター監督を新たに迎え入れてのスタートとなりました。また選手に関しては、最も移籍の可能性が高いだろうと思われていたレビッチを残留させることには成功したものの、守護神フラデツキーやボアテング、ヴォルフといった前シーズンの主力が複数人流出。GKはもともとフランクフルトに在籍しており、PSGで第3GKに甘んじていたケヴィン・トラップを急遽レンタルすることができたものの、それでもメディアではこの状態でELとリーグの両立するのは厳しいのではないかという見方をされていたようですし、私自身も難しいシーズンになるだろうなと感じていました。

このような厳しい見立てのなか始まったフランクフルトの18-19シーズンでしたが、シーズン開幕戦であるスーパーカップではコヴァチ前監督率いるバイエルンに5得点を決められ大敗、またディフェンディングチャンピオンとして挑んだポカールでもなんと初戦敗退、そしてリーグでも初戦フライブルク戦こそ勝利したもののその後はブレーメンとドルトムントに連敗、と不安が的中したかのような状態に……。正直、この監督で大丈夫なのかと思ってしまったのは事実です。

ちなみにコヴァチフランクフルトでは長谷部さんをリベロとして使う3バックを主に用いて好成績を収めていましたが、ヒュッター監督は4バック志向の監督ということもあってリーグ開始時は4バックを採用しており、長谷部さんもリーグ最初の3試合は出場していませんでした(スーパーカップとポカール1回戦はスタメン)。長谷部さん自身はW杯後ということであまりエンジンがかからなかったところもあったようですが、戦術的な理由という報道もあったので、ヒュッター監督としては年齢を考えると4バックのボランチは厳しいと考えていたのだと思います。しかし負けが込んでいるなか迎えたEL初戦のマルセイユ戦では、監督もなにか変化を起こさないとと思ったのか、4バックを継続しつつ長谷部さんをスタメン起用します。そしてその結果、退場者を出しながらもアウェイの地で勝利を収めたのでした(なおこの試合の決勝ゴールは89分のヨビッチのゴールでして、彼は前シーズンから試合終盤に出てきてゴールを決めることが非常に多かったです)。

変化と転機

マルセイユ戦を受けてヒュッター監督も長谷部さんを再評価したようで、その後行われた試合では怪我で離脱していた時期以外は長谷部さんをスタメンで起用するようになります。またEL初戦に続いて行われたリーグ第4節のライプツィヒ戦からは負傷で離脱していたレビッチが戦線に復帰し、攻撃にバリエーションを加えることができるようになりました。しかしながらまだフランクフルトの調子は上がりきらず、ライプツィヒ戦では引き分けられたものの第5節のBMG戦では3失点の負け試合に(とはいえBMGは当時ものすごく調子が良かった時期ではありますので、この負けは仕方のないものであったのかもしれませんが……)。やはり今季は厳しい戦いになるのだろうかと思われましたが、第6節のハノーファー戦にて転機が訪れます。

ハノーファー戦では細かなメンバーこそ異なるものの、長谷部さんを3バック中央のリベロポジションに、アレとスタメンに復帰したレビッチを2トップの位置に配置するという、いわばコヴァチフランクフルト的な構造を持った布陣で試合に挑みます。結果エンディカ、レビッチ、デ・グズマン、ヨビッチの得点によって4-1と3点の差をつけて勝利し、その後の快進撃へとつながる良い流れを引き寄せることに成功したのです!

büffelherdeの大暴れ

ハノーファー戦で快勝して以降、長谷部さんはほぼ3バック中央のリベロポジションで起用されるようになり、守備が安定すると同時に攻撃も活性化。前線の選手たちの決定力にも支えられ、12月3日のヴォルフスブルク戦で負けるまで、ELを含む公式戦で11戦無敗(10勝1分)と素晴らしい戦いっぷりを見せます。その間の戦績は以下の通り。

11試合中10試合(つまり勝てた試合はすべて)複数得点で勝利しており、すべての試合でのちに「büffelherde」と呼ばれることになるレビッチ、アレ、ヨビッチのいずれかが得点を上げています。特にヨビッチがこの間に頭角を現しており、期間内総得点数はレビッチが4得点、アレが8得点に対してヨビッチは13得点となっています。レビッチ、アレももちろん素晴らしい活躍でしたが、この頃のヨビッチの決定力の高さはまさに「異常」でしたね。ちなみにヨビッチは前シーズンの印象もあって試合終盤に出てくることが多い選手でしたが、この頃からその活躍ぶりを受けスタメンに名を連ねることが増えました。

それにしてもこの3人だけで25得点とは、改めて考えると驚きます……しかもお互いのアシストも結構あり(特にポスト役になりやすいアレは多い)、特徴の異なる選手同士で良い相互作用が生み出されていたのだと思われます。なおヨビッチの名前をフランクフルトファンのみならずブンデスリーガファン、そしてそれ以外のサッカーファンにまで轟かせたデュッセルドルフ戦での「1試合5得点」もこの期間の出来事でして、18-19シーズンにおいてフランクフルトが最も調子が良かったのはこの時期であったと考えています。

フランクフルト攻略法の進展

しかしこの好調も、いつまでも続いたわけではありません。ELでマルセイユに4-1で勝利したあと、ヴォルフスブルク戦で久々の敗北を喫すると、続くヘルタ・ベルリン戦でも負け、約2ヶ月ぶりに連敗を味わうこととなったのです。しかもヘルタ戦では無得点と、これまで爆発していた「büffelherde」の攻撃力が抑えられてしまっています(とはいえシュート数は18本)。

この2連敗の要因は、対戦相手によるフランクフルト研究が進んだことにありました。フランクフルトの攻撃が長谷部さんの持ち上がりやロングパスからスタートすることが多いということに気付いたヴォルフスブルクとヘルタは、長谷部さんを自由にさせないために前線の1枚を使ってマンマークをつけてきたのです。その結果フランクフルトは得意のパターンを封じられ、うまく得点に結びつけることができなくなり、2連敗となってしまったのでした……。

なおこの2連敗に続いて行われたラツィオ戦では、リーグほどフランクフルト研究が進んでいなかったこともあり、攻撃爆発とは行かないまでも2得点して勝利。グループリーグをなんと無敗で突破するという素晴らしい結果を残しました。しかしこの試合で長谷部さんが負傷したため、リーグ前半戦最後の3試合には長谷部さんを欠いて挑むことに……。レバークーゼン戦では勝つことができましたがマインツには引き分け、そして前半戦最終節のバイエルン戦では負けという結果に終わりました。

ただヴォルフスブルク戦やヘルタ戦のことを考えると、レバークーゼン戦で勝てたのはひょっとすると長谷部さんがいなくなったことによって予測不可能性が高まったから、という可能性もあるのかもしれませんね。レバークーゼンほどのチームが長谷部攻略用の布陣を敷いてこないとは思えませんし、いざやられたら強敵だったと思われます。とはいえやはり長谷部さんを欠いたこと自体は痛手でしたし、万全のフランクフルトがホームでバイエルンとどう戦ったのかは見たかったですが……。

前半戦総括

さて、ここまで18-19シーズン前半戦のフランクフルトをざっと振り返ってまいりました。序盤こそ4バックにうまく適応できなかったことや、エースであるレビッチが負傷離脱していたことなどの影響を受けて低調な始まりとなったものの、慣れ親しんだ3バックへの回帰とリベロ長谷部の再起用、そして怪我から復帰したレビッチとアレ、ヨビッチの「büffelherde」がその得点力を爆発させたことにより、最終的にはリーグで8勝3分6敗の勝ち点27、暫定6位で折り返すことができています。また選手層から苦戦が予想されていたELに関しても、なんとグループリーグを全勝で突破。おそらく誰もの予想を超えたポジティブな結果であったのではないかと思います。

とはいえ前半戦終盤では負け試合も増え、若干調子が落ちてきているようにも思える状態ではありました。そんなフランクフルトの後半戦をいちファンがどのように見ていたのか……については、気付けば4,000字を超えていたのでまた後編で書かせていただければと思います笑!

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