尊敬するひと

中学の頃、私は皆さんが想像するほどのものではありませんが、軽いイジメを受けていました。

自分のクラスだけではなく、他のクラスからもよそよそしくされて、いままで下の名前で呼びあっていた女友達も苗字呼びになって、私から距離を置かれました。

そんな中、小学生の頃から仲の良かったある男の子は、私に対していつも通りに接してくれていました。

何があっても。

私が他の子から無視されていても、その子だけは私に声をかけてくれて、励ます、とかそういうことではないけど、とにかく普通に笑いかけてくれたのです。

私はそれがとても嬉しくて、唯一の救いのように感じていました。

そんなとき、その男の子がＡちゃんと付き合っている、という噂を聞きました。

それを聞いたとき、私はすごくショックを受けたことを覚えています。

別にその子と付き合いたいとか思ったことはないのです。恋愛対象として見たことも無いのです。

Ａちゃんはとても良い子だし、病気か何かで長期欠席していたこともあり、特に関わりもなく、私には無害の存在です。

でも、その男の子にとっての特別は、Ａちゃんだったんだと思うとなんとなく悲しくなりました。

その子にとっては、私のことが特別だと思っていたからです。

でも、その子にとっては、私への態度は特別なのではなく｢普通｣のことをしていただけなのです。

｢普通｣に｢普通｣ができる彼を、私は今でも尊敬しています。