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映画を見たよ

「CLOSE/クロース」という映画を見た。

何にも予定がない休日は、まず出かけようか、出かけまいか、と考える。
別にやりてえこともないしなあ、やめとくか、と大抵なる。
1人で出かけようということになる時は、たぶんどうかしている。1人で出かけてあー楽しい満足!と帰れた試しなどないからだ。
僕の起点は結局帰ることにある、家にあるんだ。

その日はたぶんどうかしていたので、吉祥寺へ行くことにした。バスで行けるからだ。バスに乗るのが好き!
ほいじゃあキャップでも見に行こうかな、そうだ、せっかくならなんか映画でも見てー、その後キャップ探そー!あ!クロースやってんじゃんラッキー!といった具合である。

見た。
悲しくてボロボロ泣いたのでキャップ探しどころではなくなった。
とても、良い映画だったよ。

映画館を出てイヤホンで悲しみに、うるせえ、耳に栓をしようかとも思ったけど、イケナイことのような気がしてやめた。そもそもそんなことをしても意味がないことを、僕は知っている。
ららーらーららー
ふらふらと、へらへらと歩き、本屋へ向かった。

子と親で溢れている児童書コーナーへ行き、ケストナーの『点子ちゃんとアントン』を手に取った。
加えて又吉直樹の『火花』を手に取り、大好きなセルフレジで精算をした。

懐には本を買った幸福感があったが、気持ちは晴れないままだった。

まだ帰りたくない、と早く帰りたい、のどちらをも抱えてエスカレーターへ向かった。
ああどうすればいいんだとぐずっているうちに、それらは僕の手元を離れた。
帰りたくない、と帰りたい、は上りと下りに分かれてエスカレーターに乗ったようだ。
中間地点で上りと下りがすれちがったけど、どっちがどっちに乗っているのかも、自分がどっちに乗っているのかもわからないままで1階に着いた。

本屋は6階ぐらいにあったので、自分が下りのエスカレーターに乗っていたことだけはわかった。

古着を見てもほしいと思えず、井の頭公園を歩いても楽しいと思えず、まだまだ歩いていた。

いっそのこと家まで歩いてやろうかとも思ったけど、暑かったのでやめた。

帰りたかったんだろうな、バス乗り場に足は向かっていて、そのままバスに乗った。
抱えきれないものを抱えている人を見ると、ひどくつらい気持ちになる。人1人が抱えられるものなど限られている。まあ僕はその人の許容量なんて知らないのだけど。

次の日、人の扱いがひどい様を見て、むちゃくちゃにむしゃくしゃした。

良くないと知っているお酒を飲んで、それから最近殊に仲の良い友人に連絡をした。

ジョーズを見た。
僕たち人間は、運命共同体なのかもしれないけど、全員とは仲間になれないまま、ある人は死に、ある人は生き、ある人は罵られ、ある人は讃えられる。
それでも、あの時は青春だったなとか、仲間だったよなとか、過去を額装しながら、今や未来を思うのだ。

ディープブルーを見た。
崇高な目的のために禁忌を犯す。崇高なのは目的だけで、そこにたどり着く手段が邪悪だから、海に沈んでゆく。良いやつだけが生き残るのは映画だけにしてくれ。

シャークネードを見た。
大学の時好きだった、良い声の先輩が、ホラーじゃなくて「もっとおかしななんか」と称したそれは、ああ好きよ好きよそういうの、が詰め込まれていた。「好き」だけでは突き進めないから、続編なんてないことにした。

海底47mを見た。
上手でしょう?のドヤ顔が透けて見えた時に、それをかわいく思える場合と、一気に冷めてしまう場合とがある。
冷めてしまった。
そもそも全員にむかついていたんだったそういえば。

ロストバケーションを見た。
とても痛そうだった。
家族とうまくいってない設定必要だったかな。あ、まあ必要だったか。

何を見ても満たされないのは、僕が強欲だからで、獰猛だからで、サメ映画のサメが強欲で獰猛なのは、人間にけしかけられたからだ。


君たちはどう生きるかを見た。
池袋駅の構内を歩いている時に見た、たぶんゴスロリ(ごめん何ロリかわかんない)の洋服に身を包んだ女性がとてもかわいかった。
向こうからやってきている時も、すれ違っている時も、すれ違った後も、かわいかった。
僕たちはそういうふうに生きたい。


MEGザ・モンスターを見た。
ジェイソンステイサムは隠居していたのに、能力を買われて仕事に引っ張り出され、ひとしきり活躍した末、その仕事で出会った女性とねんごろになっていた。
トランスポーターやないか!と思った。


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