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こんなこと書いていいの!?電通のヤバい手口を暴露した電通マンの知られざる悲惨「電通マンぼろぼろ日記」

昨日は技研フリマで昼から飲んでしまい、技研バーが始まる頃には椅子で寝ていた。

まつゆう*と交代して家に帰り、そのまま寝てしまったので午前四時くらいに目が覚めた。

猪瀬直樹の「ラストニュース」を全部読んでしまったので、「ミカドの肖像」を読み始めたが眠くなってしまい、別の本を探した。

買った覚えはないのだが、いつの間にかKindleにダウンロードされていた「電通マンぼろぼろ日記」を読み始めたらもう止まらない。一気に読み終わってしまった。

僕は電通とは多少関わりがある。一時期は毎年のように電通の研修で講師をしていたし(今考えるとなぜ僕がそんなことをしていたのか謎すぎる)、多分本書に登場するF社とも仕事をしたことがある。

電通の友達とは今でも毎月何かしらで飲んでいる。
僕が本格的に企画の基礎を学んだのは電通の仕事が最初で、堺屋太一の「インターネット博覧会(インパク)」向けの企画を作る時だった。

電通の友達(当時はクライアント?仲間?)から某自動車メーカーに提案する企画を手伝って欲しいと言われ、当時の上司と共に企画案を五つ出した。

それから一週間くらいして、「こんな感じにしたよ」という電通の「提案書」のファイルを見た僕は度肝を抜かれた。おそらく1000ページはあっただろうからだ。

僕の「企画」なんて、1000ページのうちの1ページ分の情報量しかなかった。

「ここまでやるのか」

と思って他の企画を見せてもらった。
この時みた企画の束が僕の頭の中で「企画の原型」になった。

そもそも、ドワンゴには「企画の立て方」を教えてくれるような人はいなかった。社長も上司もみんな直感だけで仕事をしていたので、「企画書」さえもなかった。

「これを全部出すわけじゃないんだけどさ。こう言うのを相手に見せれば、"ここまで考えてくれたんだな"と伝わるじゃない?」

電通の彼はこともなげにいうのだったが、僕にはそれが正気とは思えなかった。

結局、僕の「企画」なんか一つも採用されなかったのだが、その時考えた企画は色々な形で転生して最終的には全部役に立った。企画というのは通らなかったら終わりではない。リベンジできるのである。

あの時考えた企画の中で一番攻めた企画は、「自動物語生成装置」だった。それすらも最近の大規模言語モデルで急速に実現可能性が高まったし、実際に僕は最近「物語生成装置」を作り上げた。

そういう、縁浅からぬ会社である電通の、営業マンという人とは実はあまり接点がない。会社において営業とは戦力そのものである。電通のような広告代理店ではクリエーティブ、つまりコピーライターとかCMディレクターとかが花形と呼ばれるが、実際にお金を動かしているのは営業である。戦略論に基けば、兵隊は営業、兵站は総務とクリエーティブなのだ。

そして兵站が最も大切なのは言うまでもない。しかし兵站だけあっても、兵隊がいなければ軍隊は機能しない。その意味で営業と兵站は両輪なのである。

クリエーティブ部門は、ソフト会社で言えば開発部門に属する。つまり、新しいソフトウェアを開発するのは新兵器や新戦術の開発と同じであり、それを実際に「カネに変える(敵を倒す)」のは営業(兵隊)の仕事なのだ。

僕は電通のクリエーティブの人間とは付き合いがあったのだが、営業の人間とはあまり付き合いがない。というか彼らが実際にどのようにしてクリエーティブから金を生み出しているのかは長らく謎だった。

本書、「電通マンぼろぼろ日記」では、まさにその謎が解明される。
これ、クライアントが読んだら確実に怒るんじゃないか?

特に犯罪の匂いがすることまで事細かに書いてある。
そして主人公(と言うか作者)は明らかに犯罪に巻き込まれそうになってそれが理由で左遷されている。

特にヤバいと思ったのは、「マークアップ」と言う手口だ。
電通マンがやたら気前よく遊んでたり接待したりしてるのを不思議に思っていたのだが、それもそのはず、クライアントの接待にかかった費用は、すべて「水増し請求」されていたのである。これは流石にまずいだろ。

クライアントが雇った大物クリエイターのワガママを聞いていたら予算が6000万円オーバーした。クライアントに言っても払ってもらえない。
しょうがない。テレビの広告枠の値段が上がったことにして水増し請求しよう!

これがマークアップである。
どのみち、テレビ広告の価格は流動的なものだし、そんなの細かくチェックするクライアントはいない。それにテレビの枠は電通が抑えていて事実上独占状態なんだから大丈夫だ。・・・と言うことなのだが、これ本当にやばくないか?書いていいのか?

っていうか、発想がそもそも狂ってる。

筆者は50代後半で電通を早期退職して改めて自分に需要がないと絶望していたが、こんなやり方で損失を補填することが常態化していたら考えることをやめてしまうじゃないか。こんなの営業じゃない。詐欺だ。これではビッグモーターよりも悪質である。

もちろんこのやり方は他の業界では全く通用しないどころか、おそらく広告業界の他の会社でも通用しないだろう。

この本は筆者が体調を崩して死を前にして綴った懺悔の本であり暴露本である。匿名で説明されているが電機メーカーのドンの息子で電通マンで派手にやらかして首になった人をどう匿名で書いてもバレバレだし、他にも「これはあの会社に違いない」と言う話ばかり出てくるので極めて危険な本でもある。発売禁止になる前に買って読むべし。念のために紙でも買っておいたほうがいいかもなあ

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本書で登場するCMは多分これ