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ChatGPTとMemeplexで漫画を描くのが楽しすぎる

「AIは人間が想像力を広げ、自らの知的能力を高める増幅装置である」という話をここ何年もして来た。

その過程の中で、自分では絶対に書けないと思っていた漫画(のようなもの)を描くことがAIの助けを借りることでついにできた。ついでに原稿料まで貰えてしまった。

漫画を描く上で難しいポイントは二つある。一つはいうまでもなく、絵を描くところ。ただ、絵は慣れなので、練習すればそれなりに描けるようにはなってくる。ただ、この練習量というのが半端なくキツい。以前、絵を描くのが得意な人たちについて調べたことがあるが、寝ても覚めても絵を描いてるような人でないと上手くならない。それはもう子供の頃からの蓄積なので、五体満足でさえいれば、たとえ80歳になっても画力は向上し続ける。むしろ絵に関して言えば、晩年の方が経験値が高い分すごい絵を描いてるようにさえ思える。

次に、実はもっと難しいかもしれないのがストーリーを考えるところである。

で、この「ストーリーを考える」ことの難しさはさらに2分割できる。
一つは「陳腐なストーリーを考える」段階と、「陳腐なストーリーを面白く見せる」段階の2段階だ。

この「陳腐なストーリーを考える」のが意外と人間には難しい。考えているそばから「これ陳腐すぎじゃない?」と思って冷めてしまうからだ。漫画入門者がなかなか作品を書き始めることができないのはこれが原因ではないだろうか。

ところがChatGPTを使うと、「陳腐なストーリー」を恥ずかしげもなく考えてくれる。でも、この箱書きがあるおかげで、「陳腐なストーリーを面白く見せる」ことに集中できる。「面白くする」のは「陳腐なストーリーを考える」よりも実は簡単で、なぜなら「これじゃあつまらんな」というところをダメ出ししていけばいいのだ。陳腐なストーリーを考えるのとダメ出しするのが、同じ人間の場合、どこで線を引けばいいのかわからなくなって堂々巡りになる(ので、商業漫画には担当者というのがついて一緒に面白い話を考えるのである)。

ところがAIを使うと、遠慮なくいくらでも無限にダメ出しできる。
ChatGPTは「一見すると辻褄が合ってる」話が得意なので、たとえ面白くなくても次から次へとどんどこストーリーを考えてくれる。ChatGPTの出力をみて「ああ、この場面は面白いかも」とインスピレーションが浮かんだら、それに当てはまるようなキーワードをMemeplex(まあAUTOMATIC1111でもいいけどMemeplexの方が一度に大量に出てくるので個人的には楽だと思う)に入力すると、ドンドコ画像が出てくる。出て来た画像の中でさらにピンと来たものをフォルダに保存する。

なんか渋いオッサンとか出てくると集めてしまう

そして1ページずつ、適当に画像を並べたりして話を作っていく。

色々試した挙句Keynoteで作業するのに落ち着いた


労力的にはほとんどかからないので、ただ漫画作りの楽しいところだけをやらせていただいている感じ。創作クリエイションというのは最高級の娯楽エンターテインメントなのだ。

ポイントは、「同じように見えないキャラクターが出て来ても気にしない」こと。髪の毛の色と服の色があってればいいや、くらいで。

昔の漫画は、キャラクターの作画の区別がつかないとか、正面から描いた顔ばっかりでてきて間違い探しみたいにしてキャラクターを区別しないとならないとか、それでもなんか漫画なりアニメなりとして成立していた。嘘だと思うなら「超時空要塞マクロス」のテレビシリーズをみたらいい。絵が下手とか気にならなくなるから。

要は、「下手なAI漫画家」とは、「同じキャラクターが出せないやつである」と再定義される時代になったのだと認識すれば良い。パッと見の絵が上手いか下手かではもはや人間が書いているかどうかさえ判断できない(そしてたいていの場合、二流の人間よりもAIの方がうまい)。これは新時代の下手くそな漫画である。でも、結局数をこなせば同じキャラクター出せる気がして来た。なので俺は誰がなんと言おうと下手なAI漫画を描き続けることにした。俺の勝手だし。

ただ、MemeplexがStableDiffusion2.1ベースのDremboothに対応したので、これを使うとキャラが安定するどころか、新キャラが簡単に作れる。試しに映画好きおじさんの写真を1500ステップほど学習させて絵にしたらこんな感じの味のあるキャラクターが出て来た。

何この人 味がありすぎる

すげえ!なんか小池一夫原作・叶精作作画の劇画みたい!
ウヒョーという感じがするのである。
ヒロインも、適当に「金髪の女性」とかで出て来た人の中から特徴的なやつをピックアップしてカスタム学習させると、それっぽい人がドンドコ出てくる。StableDiffusion2.1強すぎ、である。

というわけで、先日ITmediaに掲載した「宇宙の探偵、五反田三郎」の続きを描いてみた。暇つぶしとしては極上ですよ。