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続・ど素人のピュアオーディオ入門(1)

マスクなし外出が始まった。
すると途端に外出が増えた。
それまでZOOMでいいや、みたいだった仕事も、「いやぜひフェイストゥフェイスで」という感じに変化した。

これは三年にわたる外出自粛の反動みたいなものと、それでもZOOMでいいよ、という在宅の利便性が捨てられないと言うことの二極化が、まあおそらくいい感じでせめぎ合って行く前触れだろう。

つまり、「やっぱり外出するか」と言うモードと、「家でいいよね」と言うモードがハイブリッドになっていく。どちらにせよオフィスで働くのが完全に復活することはないと思うが、「働き方」をどうするかは本当に多様化すると思う。

さて、いざ外出が増えてくると、自宅にいくらいいオーディオがあっても宝の持ち腐れになってしまう。

毎朝、自動的にテレビのスイッチが入り、羽鳥慎一の声が妙にいい音で響く。しかしいい音というのは聞きたくない時にはうるさいのである。

アキュフェーズもアナログ回路だから、無駄につけてると消耗するのでできるだけ電源を切ることにしてるのだが、前夜に映画鑑賞をしてそのまま寝落ちするとどうしても切り忘れる。

電源にタイマーつけるのも野蛮だもんな。

まあそういう感じで外出が増えてくると、困るのが音楽だ。
気がつくとLittle Bigの曲が頭の中でかかっていて、でも家に戻る頃はへとへとになっていて・・・というわけで一度はゴールしたと思ったピュアオーディオの道を、再び歩き始めなければならない。

今度はモバイルでピュアオーディオ、つまり、ヘッドホンやイヤホンに注目したい。

これまでヘッドフォンといえばしょにーのWH-1000XM5を愛用していた。
ビックカメラで試聴しまくった挙句、「これが一番いい」と思えたからだ。
ちなみに「これがいい」と思ったヘッドフォンはもう一つあって、それはマークレビンソンのNo5909なのだが、多分WH-1000XM5のOEMで、値段が3倍とかする。

ただ、3倍したとしても足回りに使われているパーツは全て上質なものに置き換えられているので、単なるラベルの値段ではなく、ちゃんと一段階上のものにアップデートされている。

No5909に比べるとWH-1000XM5はちょっとファンシーすぎるというか。
万人向けに作られているため個性に欠ける。

オーバーヘッドホンは追求すると70万円コースになってしまうので、それはまた別の機会にとっておくことにして、まずは気軽に使えるイヤホンを検討しようと思った。

しょにーのWH-1000XM5は音質は素晴らしく、ノイズキャンセリングもすごいのだがすごすぎて道でつけて歩くのは危険だったり、いざ出先にたどり着いた時にしまうのが恐ろしく嵩張ったりするのである。

気軽にBluetooth接続できるイヤホンがいいなと思いつつ、AirPodsは今更という気がする。

Appleの考える空間オーディオという概念がどうしても好きになれない。そういうもんじゃないだろうと思うのである。

そこで注目したのが、この手のポータブルオーディオの中では定評のあるSHUREだ。

オーディオテクニカもテクニクスもいいし、BOSEもいいのだが、BOSEは定番すぎるし、オーディオテクニカもテクニクスも当たり前すぎていまいち冒険した気がしない。

そういう意味では僕はSHUREは一度も体験したことがなかったので、ここから始めてみることにした。

例によって最上位機種から攻めるのではなく、中級モデルから始めることにする。

というか、Bluetoothに最初から対応しているモデルは、一番高くても中級モデルしかない。

AONIC215 Gen2 は、遮音性の高いイヤーピースとワイヤレスモジュールがセットになった中級機だ。価格も手頃で、ここから始めるのはありかもしれない。

というわけで買ってみた。

ケース

最初に思ったのは「ケースでかい」ということだった。
AirPodsとかに比べるとケースがでかい。仕方がないんだけど。
中身はこうなっている。

中身はこんな感じ

SHUREのイヤホンは耳掛け方式なので、耳にかけた部分にコントローラやバッテリーが入っている。

このケースに入れて充電するというわけ。
電池は8時間は持つらしい。

取り出すとこんな感じ

これが結構良くできていて、長時間耳につけても痛くならない。
そしてやはりイヤホンものを使う人がみんな言うのが「でも結局有線の音質には敵わない」ということ。

ところがSHUREのイヤホンはリケーブルと言って、根本から外していつでも有線に変更可能。

つまり、普段はiPhoneとBluetooth接続して音楽を楽しみつつ、少し気合を入れたい時は有線に変更して、ポータブルアンプやヘッドホンアンプに繋いでみるなんていう展開もあり得る。

ど素人がピュアオーディオの道に目覚める、そのパスポートとして、SHUREの門を叩こうではないか。

さて、肝心の音質だが、秋葉原のベローチェで試聴したところ、あまりに自然な音の広がりにいきなり衝撃を受けた。

遮音性も高く、ベローチェのBGMや喧騒も一瞬にして消える。ノイズキャンセリングは入ってないのに。

いざ体験してみると、ノイキャンはピュアオーディオの対極にあるな、というのが実感できる。まあノイズを打ち消すために逆位相のノイズを載せてるんだからピュアであるわけがないんだけど。

昔、オーディオ病気おじさん(オーディオのために彼女もいないのに一軒家を建設)の家に行った時、「ヘッドホンなら100万円で頂点を目指せる」と言っていたのを思い出す。

それは例えば、電源ひとつとってもバッテリー駆動だし、ドライバーひとつとっても耳のそばで鳴るからこだわるポイントもそこまでじゃないし、それはアンプとかプレイヤーとかの余裕にも繋がる。

オーディオとは余裕、というのが前回のシリーズで得られた教訓だった。
その意味ではポータブルオーディオの方が純粋に音を追求しやすいのかもしれない。

とにかくしばらくはこのSHURE AONIC215 Gen2のポテンシャルを楽しみたいと思う。