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ヌル是計算機自然を見てきた 落合陽一孝

落合くんから突然仏像の写真が送られてきた。

オブジェクト指向菩薩

GPTと3Dプリンターで仏像を作ったのだという。
なんじゃそりゃ。よくわからないから見に行くことにした。場所は飛騨高山の日下部民芸館。シブいところでやるねえ。

ちなみに東京から飛騨高山に行くのは、富山周りの北ルートと、名古屋まわりの南ルートがある。

そこで、行きは駅弁を食べながら富山経由で高山に行き、帰りは夕飯を名古屋で食べることにした。こうすると効率よく回れる。

富山

富山までは北陸新幹線で行く。最近の新幹線はどれも電源とWiFiがついているから仕事しながら移動できる。便利だ。

高山線はバッテリーを内蔵したハイブリッド車両。鉄道好きとしてはこんなところも見どころだ。

ハイブリッド

しかも特急ひだの中でもWiFiが使えて電源がとれる。ほぼ自宅である。

そして飛騨高山に到着。
日下部民芸館までは徒歩20分くらい。

ここが日下部民藝館

シブいなあ、こんなところで展覧会をやるとは。
しかし中に入って驚いたのは、別に仏像だけが展示されているというわけではなかったところ。合計60点以上に上る落合陽一作品が集結した大展覧会なのだ。

やはり落合陽一といえば浮遊するサムシング

これは予想外だった。だってどのメディアも仏像のことしか書いてないんだもん。

本物のテクノロジーおたくである落合陽一アートの世界観を存分に満喫できる一大展示場となっていたのだった。

曼荼羅。ずっと動き続けている
十三支のひとつ、猫

説明がどれも凝っているので飽きさせない。音声ガイドもおすすめ。

たぶんGANを使ったんだろうと思われる作品

うーん。攻めてるな。これは。

先日チームラボの猪子さんと会った時も思ったが、アートの文脈では日本人クリエイターは安易と国境を越える。今サウジアラビアとアラブ首長国連邦にチームラボを建設中で来年オープン、ドイツとオランダには再来年オープンという感じでコロナ明けに急ピッチで進んでいる。

河口洋一郎先生といい、石井裕先生といい、テクノロジーはもちろんのことまずアーティストとしても高い評価を得ている。ともにアルス・エレクトロニカで受賞歴があり、世界的に影響を与えている。そういう意味では落合陽一先生も王道中の王道を行っていると言える。

しかも、ここが結構大切だと思うのだが、仏教思想や東洋の考え方、日本の様式、そして最先端のテクノロジーといったものを、表層をなぞるのではなく、深層から染み出すように作品作りに反映させているのが、アーティスト落合陽一の特徴ではないか。

オブジェクト指向菩薩ももちろんある

庭園全体が作品だったり、流れてくる音が作品だったり、とにかく創意工夫をこれでもかこれでもかと入れてくる。同じ文脈だとAR三兄弟の川田十夢さんとかもいるんだけど、川田さんはもうちょっとポップに寄せてる感じで、落合くんはもっと攻めきってる感じだ。

個人の感想です

特に落合くんは技術に人一倍のこだわりがあるにも関わらず難しい技術ばかりを使おうとしないのが実は凄い。

技術はあくまでも自分の思想を表現するための道具であり、そのためには技術的な高度さ「のみ」を追求しないという点が尖っている。

河口先生は初期の作品は技術的に一番尖っていたが、最近は肉筆絵画に移行しているのでむしろポップ寄りになってきた。川田さんは難しい技術でわかりやすい面白さを追求してるし、チームラボはむしろ難しいことをすることが目的なのではなく、とにかく大胆に大掛かりな仕掛けで人々を喜ばせようとする一大ポップアートと言える。

たとえば会場のあちこちにある黒電話

黒電話も展示作品

電話を取り、「見ているもの」を言葉で与えると、大規模言語モデルで生成されたセリフを落合陽一の声で再生するというもの。ひとつひとつのテクノロジーは既存のものだが、丁寧に組み合わせることで表現したい世界観を構築している。

こういう地道なことこそが、意外と積み重ねていくのが難しいことなのだ。

落合くんといえば僕は学生時代の彼が東大の制作展でコロイドディスプレイを展示していた時に「とんでもない天才とアレの紙一重のやつがいる!!!」と戦慄したのが最初に名前を覚えたきっかけだった。

山梨のもいかないとなあ。山梨のは昨日からスタートしているらしい。
素晴らしい。いかないと。

落合陽一作品まとめ