続・ど素人のピュアオーディオ入門(2) ライアン大佐、モーツァルトはお好きですか?
今回、久々の地球放浪の旅の共に選んだのは、SHURE Aonic 50。オーディオ愛好家にはお馴染みのSHUREだが、軟弱にもそのBlutooth+ノイズキャンセリングモデルをチョイスした。
ちなみにSHURE Aonic 50はもうすぐ第二世代が出るらしいのだが、僕は出発直前に欲しかったので泣く泣く旧世代を買った。これでもバッテリーは20時間持つ。
それまでしょにーのWH1000XM5を愛用していたのだが、幾つかの点で不満があった。ノイキャン性能、音質ともに素晴らしいのは大前提として。
嵩張る / ヘッドホンだから仕方ないのかもしれないけどそれにしても
表面の処理がマットで汚れがつきやすい / 白いのにしたのが悪いと言われればそれまでだが
どことなく高級感にかける / 5万円アンダーのヘッドホンに高級感もないが
音質は素晴らしいが、もう一声欲しい / 単なるワガママ
とまあ、理屈をこねても仕方がないのだが、とにかく買った。
そして最高だと思った。
SHUREはこれよりハイエンドのモデルだと優先のものしかない(多分)し、旅行中、装着したまま寝落ちする可能性を考えると有線のみのものは避けた方が無難かと思った。
純粋に「いい音」を聞くだけならもっとハイエンドのものも選択肢に入るのだが、なぜノイキャンが必要なのかというと、航空機のノイズがとにかくストレスだからだ。航空機のノイズは、エコノミーだろうがファーストだろうが等しく発生する。そのため、ビジネスクラス以上だと最初からノイキャンイヤホンが配布されたり(もちろん回収もされる)するケースもある。
騒音が味覚に与える影響も兼ねてから指摘されており、とにかく飛行機の嫌なところは、あのさまざまな周波数帯のノイズに長時間晒されるというストレスにある。したがって、長時間飛行機で移動することを繰り返す、地球放浪旅にはノイキャンヘッドホンが必須なのである。イヤホンだとどうしても装着している時間が短くなる。ヘッドホンはその点、長く装着できる気がするが、これは個人の好みもあるかもしれない。
実際、SHURE Aonic50のノイキャン性能はWH1000XM5に匹敵するほど高い気がする。外音取り込みモードもあり、CAのドリンクサービスもヘッドホンを外さずに対応できる。また、外音取り込みモードであっても、最低限のノイズはキャンセルされる。そういうプログラムなのか密閉型だから偶然そうなっているのかわからないが、これはなかなか快適。外すよりずっといい。
その状態で日本から北米、北米からヨーロッパへと移動してきたのだが、ヨーロッパからアフリカに移動する際、なんの気なしにAmazon Musicを聞いてみると、これが予想外に「イイ」のである。
まさか飛行機の騒音の中、音楽鑑賞ができるとはちょっと想像していなかったのだが、自宅のアキュフェーズ+B&W 705S2にはもちろん及ばないものの、なかなかどうして、いい音がする。
据え置き型スピーカーとヘッドホンの一番大きな違いは、当然ながら音が前からくるか、横から来るかというものだ。ソースにボリュームに全く調整を加えないと、この差が大きく響いてくる。聞こえ方が根本的に違うのだ。
AirPods Maxは空間オーディオでこれを解決しているが、SHURE Aonic50はそこまでやってない。Gen2はやってるのかもしれない。
なので、聞く音楽を選ぶことは選ぶ。どうしたって前から聞こえるものと横から聞こえるものは違うものは違う。
ただ、楽曲を選べば機内という騒音の渦の中でさえ音楽鑑賞めいたものが楽しめてしまうというのはかなり意外だった。
ホテルでわざわざヘッドホンで音楽を聞かなくても・・・と思っていたのだが、むしろホテルで一人でリラックスしている時にあえて有線で繋いでしっとりと音楽に浸るのも一興ではないかという気さえしてくる。
しかも、USB-Cで直結するとDACが内蔵されていてハイレゾで聴くことができる。
SHURE Aionic 50は、最大32ビット/384kHzまで対応しているのでAudio MIDI設定で設定することができる。本当にこんなに使い切るソースはなかなかないだろうが。
思えば「量子化」って言葉を初めて聞いたのもオーディオだったな。
あの頃は量子化ビット数が16ビットだとか8ビットADPCMでいいんだとか色々あったけど、今は32ビットか。
つうか有線でハンスジマーを聴くと半端ない。
ただ、Apple MusicよりもAmazon Music Unlimitedの方がハイレゾ多いかな。でも大抵のUltraHD曲は24bit/44k.1Hz。いわゆるCD音質。でも全然違う。
ブラウザだと限界が低いのでデスクトップ用アプリをダウンロードして使う。
なるほど。まさか旅先で「音楽鑑賞」が楽しめるとは思わなかったなあ。
もちろんもっと上を目指そうとすればDACも専用のを持ってって、ヘッドホンもちゃんとしたやつで・・・ってのはあるんだろうけど、荷物が増えるのは地球放浪には向かない。ヘッドホン一つでDAC内蔵ってのがこんなに効いてくるとはなあ。
日本では公開されたらしいが、大沢たかお主演の「沈黙の艦隊」にも、海江田が爆音でモーツァルトを聴く場面は出てくるんだろうか。
よく考えると、潜水艦の中に大音量のオーディオセット持ち込むとか、その時点で誰か止めそうだが、まあ核弾頭とか運び込んでるんだから同じか。
せっかくだからUltraHDでモーツァルトを聞いてみる。
いい買い物だった。