短編台本#008:ダンジョン

A:仲良くならないと出られない部屋だあ?

B:本当にこんな部屋があるんですねえ

A:なんでお前は冷静なんだよ‼こんな鬼気迫った状況で‼

A:お前と仲良く?そんなの無理に決まってんだろ‼

B:それに関してはおおむね同意ですね

A:だったらなんで⁉

B:無意味なことに労力使っても意味ないでしょう

A:な、な、本当にお前って奴は…

A:お前のそういうところ本当に…‼

B:なんですか?嫌いなら嫌いとはっきり言ったほうがいいですよ?

A:こなくそ…‼

B:はあ…確かにずっとこの部屋にいるわけにも行かないですし…

B:うーん、どうしたものか…

B:壁は…これ何でできているんでしょうか…

B:通風孔は…届かない

B:となると…

A:となると…?

B:うん、無理ですね

A:おいおいおいおい‼諦めるなよ‼

A:こういう頭脳労働はお前の仕事だろうが‼

B:与えられた状況から無理と判断するのも、私の仕事なんですが…

B:それならあなたは身体を動かしてくださいよ

B:穴とか開けられないんですか?

A:それが…やってみたんだけどよお…

A:うらあ‼

シュウン

B:なるほど、物理結界ですか…

A:そいいうことだ

B:うーん…やっぱり無理ですね

B:諦めましょう

A:だーからなんでお前はそうやって‼

ドン‼

ゴゴゴ…

B:えっ?

A:えっ?

B:開きましたね…

A:開いた…な…

A:はーっはっは‼ダンジョン主もアホだなあ‼鍵をかけ忘れるとは‼

B:鍵のかけ忘れ…?

B:…

B:【アナライズ】

ヴォン

B:正常に作動している…

B:起きてから今まで鍵が開いたような音はしなかった、ということは…

A:おいおい、自分だけで納得するなよ

B:つまり…

B:最初から解錠条件を満たしていたから開いていた、ということです

A:え?

A:おいおいおい、それは、それはないだろ‼

A:ないないない、絶対にない!!!あってたまるか‼

B:ふふふ、まあそういうことにしておきましょう

A:な、な、な…

B:さーてやっと出られたことですし、ご飯でも作りますかね

B:今日は…あなたの好きなハンバーグですよ

A:おー‼いいじゃねえか‼

A:ハンバーグ…大好きなんだよなあ…

B:…

B:これくらい、私にも正直になってくれればいいんですがねえ…

B:ふふふ、まあ私も人のことは言えませんが


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