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【エッセイ】セルフ・コンパッションを感じる曲 スポットライト/ウタイスト

 メンタリスト DaiGoさんの影響でセルフ・コンパッションを学び始めている。YouTubeやニコニコの動画を観たり、そしてその動画内で紹介していた本を読んだりしている。

 上記の本では、セルフ・コンパッションの主要な構成要素を3つ定義している。

1. 自分に優しく
2.他者と繋がっているという感覚
3.マインドフルネス(現実を認めること)

1.自分に優しく

 自分に対して厳しく批判的・判断的な態度を取らずに、優しく思いやりのある態度を取ろうとする自分に対する優しさということだそうだ。何らかの過ちや失敗を犯した場合に自分を強く責めようとすることが多い。これを自分への優しさによって、悩んでいる心を和らげ、落ち着かせることができるというものになる。自分に厳しい人と言うのはどうしても自分を責めがちであり、それが余計、悪循環になっていることは多いのかもしれない。

2.他者と繋がっているという感覚

 孤独感や疎外、苦しみを感じることなく、人間として生きる上で他者と繋がっているという感覚を要求する共通の人間性を自覚することだそうだ。また、人間の人生が相互関連的な性質を持っていることを理解することは、自己受容や自己愛とセルフ・コンパッションを区別する上で役に立つらしい。自己受容も自己愛も重要ではあるが、いずれもそれ自体は不完全で、その理由は「他者」という必要不可欠な要素を除外しているからだと言う。確かに、生きる上で「他者」は考慮しなければならない重要な要素である。

3.マインドフルネス

 自分の経験による苦痛を無視したり誇張したりすることなく、バランスの取れた自覚を持って捉えるというのがマインドフルネスということである。現在起こっていることに対する正確な理解と中立的な受容を意味しているようで、「現実を認めること」を意味している。現在の状況に対して最も慈悲的な方法、最も効果的な方法で向き合うことで、物事をありのままに捉えること、それがマインドフルネスということである。やっぱり現実を素直に受け入れるというのは大事なんだなと思えた。

セルフ・コンパッションを感じる曲

 私自身、セルフ・コンパッションは勉強中であり、しっかり把握できておらず、実践もまだまだといったところではある。ただ、ある曲を聞いて、これはまさにセルフ・コンパッションではないかと感じる曲があった。それは、ウタイストというアーティストのスポットライトという曲である。

 ウタイストは瀧澤克成さんと石河美穂さんの2人組のアーティストである。YouTubeで瀧澤さんのギターレッスン動画を観ていたことがきっかけでウタイストを知り、以降ウタイストの曲を聴くようになった。あれからそろそろ1年ぐらいになる。瀧澤さんのテクニカルで、オシャレなギターと、石河さんの綺麗で魅力的な歌声が組み合わさった、とても素敵なユニットである。現在の私は、朝のアラームはこのウタイストの変わらない歌という曲で目覚め、憂鬱な月曜日の朝はウタイストのプレイリストを作って、それをシャッフルで聴くことにしている。

 さて、このスポットライトという曲のどこにセルフ・コンパッションを感じるか。歌詞を引用させていただき、上記の3つの構成要素に当てはめてみたい。

 まず、自分に優しくということであれば、以下の歌詞が当てはまりそうだ。

足跡を積み上げてはその形に思惑い
笑われてからかわれてそれでも諦められない
僕だって僕なりに頑張ってもがいてる
文句はないだろう
照らせ心のスポットライト

 曲のクライマックスで、タイトルでもあるスポットライトという言葉も登場し、最も印象的なパートである。他者に評価されなくても自分を責めることなく、自分の諦めない頑張りを認めようとするのは、まさに自分に優しくの実践ではないだろうか。「文句はないだろう」という言葉も凄く強い力を感じる。

 次に他者と繋がっているという感覚だが、以下に当てはまるのではないだろうか。

風は僕の肩を押すために
空は僕の手を導くために
僕は君の何になれるかな
いつか笑い合えるだろうか

 「君の何になれるかな」なんて考えることは、まさに他者との繋がりを意識していることになる。風や空は自然であるが、それ自体も他の何かが自分に影響していることを認識しているようにも思える。最後の笑い合えるというのも、自分だけが笑うのではなく、他者を感じているように思える。

 最後にマインドフルネスであるが、これはこちらではないだろうか。

僕の手は何のために誰のためにあるのかな
その答えどこに行けば誰に聞けばいいのかな
強さとか願いとか手に入れて何をする何が出来るのか
それはやっぱりわからないまま

 これはちょっと難しいかもしれないが、色々と迷っている現実を認めていることになるのかと感じた。あたかも分かったように自分を偽るのではなく、やっぱりわからないと認めること、これがマインドフルネスに当たるのではないだろうか。そしてその結果、曲の最後のパートの以下に繋がる。この迷いの現実を認めたことによるものだろう。

こうやって迷うことそれこそが答えだろ間違い無いだろう
そして明日へ近づいてく
このままでいいんだと明日へ近づいてく

 というわけで、スポットライトセルフ・コンパッションを感じる曲である。DaiGoさんの動画や、「セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる」の本よりも、手軽にセルフ・コンパッションを学べるコンテンツであるとも言える。曲としてもとても素晴らしいので、是非聴いてみていただきたい1曲である。

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