LL.M.留学にあると便利な書籍リスト

 主にBar受験を考えられている方向けですが、それ以外の方も選択する授業によっては役に立つのではと思います。日本語の書籍を使うことについては色々と議論もあるものの、多少の予備知識があるのと無いのとでは、英語での読み書き・リスニングのハードルがかなり変わってくるので、特に留学の初期や英語が苦手な方は、授業の予習の準備(?)として、日本語でのインプットもおすすめです。

1.アメリカ法ベーシックシリーズ

 LL.M.留学をされる方にとって定番?とも言えるシリーズです。

(1) アメリカ憲法 お勧め度2/5

 憲法は意外と得意不得意が出る印象がありますので、苦手意識がある人は買っても良いかもしれません。私自身は、日本との違いから分かりにくい概念(連邦制、州際通商など)を理解する際、参照しました。ただ、基本的なところは下で紹介している基礎から学べるアメリカ法で押さえられると思います。授業との関係では、ケースの記載が薄く、コールドコールには耐えられないなという感触でした。

(2) アメリカ契約法 お勧め度2/5

 Barの受験科目であり、授業を履修される方も多いため、あっても良い本だとは思います。しかし、文章がちょっと読みにくく、私はかなり苦痛でした。授業との関係で言えば、有名どころの判例はフォローされているものの、記載が薄いため、結局ケース自体を読む必要がありました。
 また、Barとの関係では、日本人ノート等で分かりにくい記載が出てきたとき等に役立つかなと思ったのですが、そもそも日本人ノートの記載は、この本の記載も考慮した上で書かれており、疑問解消の処方箋となりませんでした。
 英文契約書の本がたくさん出版されており、契約の成立などについては簡潔かつ分かりやすい解説を記載してくださっているものが多数ありますので、それらを読むので入り口としては十分な気がします。
 それ以降の発展的な論点などは、英語で調べてみると(もちろんDeepLの力を借りて)、とっても分かりやすい解説が簡単に見つかりますので、この本を使う必要はないと思います。

(3) 民事訴訟法 お勧め度3/5

 文章がかなり読みにくいので手放しでおすすめはできないです。ただ、民事訴訟は用語が難しく、また、日本の民事訴訟の知識が入っている場合(特に実務経験がある場合)、暗黙のうちに日本の制度や概念に引き付けて考えてしまい、沼にハマってしまうことがあります。頭のギアチェンジをするという点であると便利な本だと思います。
個人的には、こちらよりも下で記載しています関戸先生の本の方がオススメです。

(4) 不法行為法 お勧め度2/5

 Barとの関係では、これがなくても日本人ノートだけで突破できるとは思います。ただ、時間に余裕がある間に、この本を一周しておけばもう少しBarの準備が楽だったのかなという気がしています。

2.アメリカ憲法入門 お勧め度3.5/5

 文章が比較的読みやすく、最近改訂されたこともあり、個人的には、樋口先生の憲法よりもお勧めです。憲法は日本と同じで大丈夫とよく言われますが、違う点も案外多く(特に統治)意外と苦戦するので、憲法は困ったときのために一冊は手元にあると良いです。

3.基礎から学べるアメリカ法 お勧め度4/5

 留学前に読んでおく本を挙げるのであれば、こちらをお勧めします。本自体薄く、記載も上記アメリカ法ベーシックシリーズと比べて読みやすいので、ざっと全体像を掴むという点で良い本だと思います。

4.アメリカ法判例百選 お勧め度2/5

 たまに役に立つ解説があったりしますので、参照してそういうのが見つけられたらラッキーくらいの位置付けでした。ケースを読む取っ掛かりにするというよりは、重要判例の位置付けを確認するという限度で参考の参考という印象です。

5.分かりやすい米国民事訴訟の実務 お勧め度5/5

 民事訴訟で持っていくなら(Kindleで買えるようです)この本を断然お勧めします。実務の観点から書かれた本ですが、日本人ノートだけだとかなり理解が苦しい箇所があり、こちらの本はそうした点を補うのに大変役に立ちました。

6.米国会社法 お勧め度4/5

 ちょっと古い本ですが、コロンビア・ロースクールの講義内容をベースに執筆されたらしく、授業の予習・復習で便利な本でした。Amazonでは中古でしか手に入らないようですが、会社法が苦手な人は持っていて損はないと思います。ちなみにこの本は、会社設立州として有名なデラウェア州の会社法を中心として解説されています。

7.英米法辞典 お勧め度2/5

古めなので評価低めですが、辞書の選択肢がないので、ご紹介します。出番は少ないものの概念に混乱したときに調べるのに便利でした。
そのほか、こんなものもあるようです。

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