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経費の補填/『シャドウラン 5th Edition』ハウスルール13


01 前口上

 この記事は新紀元社から発売されている『シャドウラン 5th Edition』日本語版ユーザーに向けた、「非公式」のルール調整案(Tweaks)です。 
 記事の閲覧・利用に関する前置きは下の記事を参照してください。


02 経費の補填

 ランの最中に消費した弾薬、原質、情報料といった経費を、一定の範囲で後日補填するためのルールです。経費の精算の面倒な計算を省いたり、大量の消耗品を必要とするスタイルのキャラクターと、身一つですべて解決できるキャラクターとの間の格差や不公平感を減らす役に立ちます。

(1) 経費として認められるもの
 どこまでを認めるかはプレイグループ内で調整するべきですが、ガイドラインとして、「原則として、ランの最中に喪失したり消耗したもの」は『経費』に計上できます。

例:
 弾薬、ドラッグ、パッチ、原質、使い捨てにした偽造SINや偽造免許、損傷したヴィークル/ドローンの修理費、治療費、コンタクトへの情報料、巡回警官への口止め料など。

 ランをまたいで消費するもの(精霊の束縛のための費用やドク・ワゴン契約など)については、主にランのために消費されたり、ランの最中に失われたものに限って認められることになります。例えば、呪文の習得を支援するために束縛された精霊の費用は経費になりません(「1回だけ助力が残ってるからランに使って経費に計上しちゃえ」はもめ事になりやすいので推奨しません)。

 ランに使用た装備を「アシがつく」のを防ぐために処分した場合、それは経費になります。当然ですが、ブラックマーケットやコンタクトを介して売却したのなら、補填されるのは購入時の価格との差額までです。補填によって「儲けが出る」ことはゲーム・バランスの面から言っても認められません。これは収束具を自作した場合などでも同様で、自作のコスト分までしか補填できません。

 装備をより性能の良いものに更新するために、古い装備をランに使って捨てるのは“合法”ですが、使いもしない装備を捨てて補填を得ようとするなど、このルールを悪用しようとした場合、GMの判断によってそのキャラクターに「悪名」を与えても構いません。
 補填される金額の算出にライフスタイル・コストを使用するため、セーフ・ハウス等をランのために購入した場合でも、そのライフスタイル・コストは経費になりません。残念ながら。

(2) 補填される金額
 補填される上限は、キャラクターが「実際に支払った」ライフスタイル・コストの半額までです。ドワーフやトロールなど、ライフスタイル・コストが変更されているキャラクターの場合、最終的なコストの半額になります。複数のライフスタイルを持つキャラクターはそれらを合計しても構いません。「Trust Fund」(Run Faster)の資質を持っている場合、該当するライフスタイルの基本の額を基準に算出されます。
 チーム・ライフスタイルなど、キャラクターが共同生活している場合も補填される金額は「そのキャラクターが支払った額」が基準になります。
 計算上の面倒を避けるため、ライフスタイル・コストは経費に計上できません。
 何らかの理由でランの最中にライフスタイル・コストが変動した場合も、「実際に支払った額」が基準であることは変わりません。

 補填される金額の割合は「1ヶ月に1回ランを成功させる」ことを想定しています。1週間に1回ランをするなら、ランごとにライフスタイル・コストの10~20%程度まで補填されるようにするなど、適宜調整してください。
 ヴィークルやドローンを喪失した場合など、損失額が大きい場合には複数回のランに分割して補填することを認めても構いません。
「経費の貸し借り」(例えば上流ライフスタイルのフェイスが、自分では使わない原質を買って路上生活のストリート・シャーマンに貸しつけるなど)については、チーム内できちんと管理できるのであれば問題ありません。ただし、面倒な計算を省略するためのルールなのに、チーム内で貸し借りを始めると結局面倒になることには注意してください。

(3) 補填の手続き
 補填は、ランの後に依頼人からコンタクトを介して新円で振り込まれます(望むならエスクロー・サービス等を利用して経路をたどれないような手段で)。依頼人を裏切ったり、フィクサーに対して誠実な報告を怠ったりした場合には補填を受けられない場合があります。「ミッション・カレンダー」を採用している場合など、必要なら補填されるタイミングをライフスタイル・コストを支払う時としても構いません。

(4) 新円以外の補填
 新円による補填の代わりに、偽造SIN(とそれに紐付いた偽造免許一式)を無償で借りられるとしても構いません。この偽造SINのレーティングはキャラクターのライフスタイルによって決まります。また偽造SINと同じレーティングの偽造免許も一式ついてくるものとします。

ライフスタイルと偽造SINのレーティング(括弧内がレーティング)
不法居住(1)、下流(2)、中流(3)、上流(4)、贅沢(5)

 原則として、この偽造SINを捨てたり焦げ付かせたりしても弁償する必要はありませんが、不要になったのなら返却しなければなりません。勝手に売却したりすれば背信行為と見なされます。

 キャラクターが複数のライフスタイルを維持している場合、通常の経費の補填と偽造SINの借用でライフスタイルを「振り分ける」ことができます(通常のライフスタイルとは別に、セーフ・ハウス用のライフスタイルを持っているキャラクターなら、片方で経費の補填を受けつつ、もう片方で使い捨ての偽造SINを維持できるということです)。

 共同生活している場合、この方法で偽造SINが借りられるのは借主として登録されているキャラクターだけで、少なくとも基本のコストを支払っていなければなりません。共同生活していて、増えた分のコストだけを負担しているキャラクターや、コストの合計を等分割している場合にはこの権利は得られません。
「Prototype Materials」や「Special Modifications」(Better than Bad)の資質を持っているキャラクターは、特殊装備を失った場合にそれを補填の代わりに得ても構いません。

(5) ゲーム・バランスへの影響
 このルールは消耗品等の使用を「プレイヤーの自己責任」とするものです。「実際に高価な消耗品を使って楽しいのはそのプレイヤー自身である」という受益者負担の原則に則り、消耗品の負担を軽減する代わりに、消耗品を使うプレイヤーが支払いを負担することになります。
 ゲームをいわゆる「散財プレイ」の方向に誘導し、インフレを助長する危険がありますが、消耗した金額を巡ってチーム内でもめ事になったり、変に遠慮してキャラクター本来の力を出せないといった状況を防ぐとともに、長期のキャンペーンにおいてライフスタイル・コストの高いキャラクターが一方的に不利になることを是正し、ある程度実力のあるランナーには、それに見合う生活を送ることを促す効果があります。


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