襟屋 美加

本業はしがない編集者です。

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最近の記事

【ワーママ再就職日記③】再就職と家電と私

先日Twitterを見ていたら、オーストラリアかどこかに住む女性が「日本人が洗濯物干す習慣マジでクソ、そんなの時間と労力の浪費でしかない。いいから乾燥機を買え。生活習慣に家事を合わせるのはバカ、家電に生活を合わせろボケ(意訳)」といった内容を投稿しておられた。 それを読んで、私は深く納得した。 再就職で生活が激変するにあたり、私がいの一番にやったこと。それは家電の買い替えまたは買い足しだ。以下、人生変わりました感動レベルー!の家電たちを紹介いたします。 ①ルンバ 言

    • 武漢の思い出

      最近、新型肺炎でアツイ武漢。15年前、わずか半日くらいだが滞在したことがあり、その時の思い出をば。 当時天津市の大学に留学していた私は、友人たちと春休みを利用して西域感溢れる西安を旅行し(西安に向かう際、べらぼうに揺れる飛行機の窓からはただひたすら「黄色い大地」が見えた)、そこから成都まで電車で移動して激辛料理とよく知らない三国志の遺跡巡りをし、重慶までバスで移動して町歩きをし(中心街の対岸の島は再開発のため廃墟、みたいな時代でした)、悪徳旅行会社のインチキ長江下りツアーに

      • 【ワーママ再就職日記②】オカンが、言葉を取り戻すとき

        「日本を取り戻す」 というコピーが前回の選挙の際にあちこちで踊っていた気がするが、取り戻すべき「日本」とは、いったい全体何なんだったのだろうか。 非正規雇用の旗振り役だったくせに、今度はロスジェネ世代の正規雇用の先鋒となった某派遣会社の姿をニュースを目にして、朝から気が滅入った。 とか色々考えると深い闇に入り込みそうなんだが、今日は、いちオカンとしての話。 「女は子どもを産むと女じゃなくなる」とはよく言われる例えだが、私の感覚からすると、「人じゃなくなる」。これがピッ

        • 【ワーママ再就職日記1】ありがとう、マザーズハローワーク

          現役の会社員(正社員)のころ、めちゃくちゃ忙しかった。 学校を出て、新卒で入社し、それから6年、がむしゃらに働いた。毎日残業、土日も仕事。寝ても覚めても仕事のことで頭がいっぱい。日々、プレッシャー。 特別なスキルもないのに、同世代に比べたら給料は結構良かったが、疲れ果てていて金を使う気力もなく。ただ、毎月かなりの部分をマッサージ代に費やした。 辞めたとはいえ、私を拾い(就活でかなり苦戦したので、、)、根気強く育てて、食べさせてくれた会社。誠意ある事業内容も一緒に働いた同

        【ワーママ再就職日記③】再就職と家電と私

          25年ぶりの「るろうに剣心」

          先日、Yahooで「るろうに剣心」15巻を期間限定無料公開しているのを発見し、15巻までは一気にYahooで読み、そのあとはTSUTAYAの貸本漫画で読み、再読含めて全28巻を読破した。 るろうに剣心が連載され話題になり、アニメ化もされて世間を席巻していたのが私が中学生の頃なので、まあ大体25年ぶりの再会。魅力的なキャラクターや時代設定に、再び会いまみえることができました(ちなみに連載時は京都編の途中で脱落したので、初めて完結の内容を知りました)。 当時「るろうに剣心」を

          25年ぶりの「るろうに剣心」

          プリキュア と女の子たちの未来

          娘が3歳をすぎてから、プリキュア の虜になった。 毎週日曜日はプリキュア で始まり、週末は父親とプリキュア ごっこ、自宅はプリキュア グッズで溢れ(バンダイにはいくら注ぎ込んだか不明)、長期休みにはプリキュア イベント。映画もプリキュア 。TSUTAYAで借りるDVDもプリキュア 。実は数々の食品メーカーがプリキュア とコラボレーションしており、ふりかけもプリキュア 、魚肉ソーセージもプリキュア 、レトルトカレーもプリキュア 、お菓子もプリキュア 、プリキュア を目にしない

          プリキュア と女の子たちの未来

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(4)

          川井啓二 始業は9時、終業は18時。啓二の勤める印刷会社では、労働契約上そのように定められている。しかし実際のところ、終業は早くて20時、帰宅すると22時はゆうにこえている。営業部に所属しているため、毎日夕方に出版社にその日の入稿原稿を取りに行くものの、編集担当が上長承認を得て啓二に原稿を手渡す時間はまちまちである。担当によっては、啓二への原稿引き渡し時間が深夜になってしまう場合もある。新入社員として入社した際は、あまりにも「昭和」な業界形態に愕然としたが、そんなものかと続

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(4)

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(3)

          川井美耶子 返却された本たちを入れたキャスターを引き、ラベルの数字を確認し、きちんと著者の棚に本を戻していく。一冊、また一冊。あるべき場所に落ち着いた本たちは、なにやらホッとしているように見える。緑いっぱいの窓辺から穏やかな午前中の太陽のひかりが差し込んでいる。 美耶子は、自分の勤め先であるこの小ぶりな図書館が、とても気に入っている。坂だらけの文京区で、谷の底にある駅から大きな坂道を登って少し左にある図書館。規模は小さいが新しく、とても明るい。 子どもの頃から、図書館が

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(3)

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(2)

          川井啓二 「ねえ、なんか最近、カルキ臭くない?水道水」 帰宅するなり手も洗わずにキッチンに立って水を汲み、一気に飲みきった美耶子が話しかけてきた。 「俺にはわかんないけど、、、いい加減浄水器買う?」 問いかけに答えることもなく、美耶子は着替えのために寝室にスタスタと歩いて行った。結婚して早5年、「東京の水道水はおいしい」と、美耶子はかたくなに浄水器の取り付けやミネラルウォーターの購入を拒否し続けている。潔癖症の母親に育てられた啓二には、なかなか理解できない習慣だ。

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(2)

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(1)

          川井美耶子 目が覚めたら、のどがからからに乾いていた。 冷蔵庫と、怪しげなグッズを売っている自動販売機だけが、ズーッ、ズーッと音を立てている。乾いたコンタクトレンズがようやく目になじんだら、鏡張りの天井にベッドに仰向けになっただらしない姿の自分が映っていた。ここがどこだったか思い出すのにたいそう時間がかかったが、鏡ごしにとなりに眠る康孝の姿を確認し、合点がいった。 急いで時計を確認した。23時45分。まだ終電に間に合う。 「ちょい、康ちゃん、起きて。電車なくなっちゃう

          【小説】椅子と床と、そのあいだの(1)