中国本土から見える世界。
いま、世界中を沸かせているサッカーW杯。
中国国営放送CCTVでも放映されているため、
観戦している中国人の友人も多い。
そんなサッカーW杯だが、中国国内では別の意味で物議を醸している。
それは…
マスク無しで、あんなに大勢集まっていいの!?
実際にそんな現地の方の声を耳にしたり、
その反応を受けて、中国国営放送は観客席を映さないようにしているという海外メディアの記事もある。
多かれ少なかれ、中国本土に住む中国人が、自国の厳しい政策に対し、疑問を抱くきっかけになっている模様。
なぜ、このことを書きたいと思ったかと言うと、
わたし自身、考えさせられるエピソードがあったからだ。
最近、大学を卒業したばかりの中国人の友人に、
日本の政策について聞かれたことがあった。
「日本ではどれくらいの頻度でPCR検査しているの?」
「日本では陽性者と接触したらどれくらいの期間、隔離するの?」
「日本ではどんな健康管理アプリを使っているの?」
※中国では、国民は必ず健康宝(ジェンカンバオ)というアプリをインストールしなければならない。
彼女は大学を主席で卒業した、努力家だ。自国を良くしたいと、本気で思っている。
そして、海外に行ったことはない。
陽性者が一人出ると、住んでいる建物が1週間封鎖されるのが今のスタンダードかと思う。しかし、住んでいる地域を管轄する社区(小区ともいう)によっても、対応がまちまちなのが厄介なところ。
不必要に住民の外出を禁じた建物もあるようで、住民による抗議活動もところどころで発生しているらしい。
わたしは彼女に聞いた。
「VPNを繋いで海外メディア情報を見たことはある?」
彼女はないと答える。
VPN接続は、中国本土でかなり厳しく規制されていて、今使っているスマホからは接続できないのだ、と。
周りの友人も同じような状況で、外のことを知る機会はほとんどないとのことだった。
「これまで正しいことをしていると信じて疑わなかったから、隔離生活も耐えられたけど、国内では自殺率が増加、倒産も増えている。本当にこれで良いのか、自信がなくなってしまった。他国はどうなのか、気になった。」
情報統制があるとはいえ、中国の若者はなんだかんだうまいこと情報入手が出来ているものだと勝手に思い込んでいたので、正直驚いた。
そして、彼女に無責任なことは言いたくなかった。日本での常識、中国での常識、受けてきた教育も見ている情報源もまるで違う。正しさの尺度は、人それぞれなのだ。
だから、事実は事実として話すまでに留めた。
「わたしも、海外に出てから初めて見えた、日本の好きな面、そうでない面がある。物事には二面性があって当たり前、むしろこれまで正しいことをしていると信じて疑わずにいられたのは幸せなことだね」
「でも、もし違和感を抱いていることがあるならば、そこは自国民だからこそ切り込んでいける部分かもしれない。その違和感を糧にしながら、より良い未来を作っていきたいよね」
要約するとこのような事を、わたし、最後の方はほぼ自分に向けて言っていた(笑)
わたしも過去に、物事の、自分にとって都合の悪い面を見たことで、これまで信じて疑わなかった価値観がみるみる崩れて諦めたものがあったことを思い出したからだ。
彼女は、何かヒントを得たのか前向きになってくれて、「今日は話せて本当に良かった!めっちゃハッピー!!!」と喜んでくれた。
いやいや、わたしの方こそ、めっちゃハッピーだわ。ありがとう。
彼女みたいな人がマジョリティなのか、そうでないのか、まだよくわかっていない。
私と同世代の他の友人は、海外に行ったことはないが、微博(Weibo=中国版Twitter)で海外の情報は手に入る、自国だけ厳しい政策を取っているのはみんな知っているはず、という。Weiboでは都合が悪い情報は消されるので、その時に見ていないと、わからない情報もあるとはいうが。
Facebook, TwitterなどのSNS、Google, Yahoo, 海外メディアのニュース、そしてもちろんこのnoteも、VPNを使用しなければ、閲覧することが出来ないのが現状である。VPNも、不安定な日は全く繋がらないので、結構もどかしい思いをしている。
わたしももう少し、中国版SNSを探検してみようかな。そうすれば、彼らの言っていることが少しはわかるかも。
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