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通関士になったら絶対関わる「税関」のお話


通関士と「税関」、一体どんな関係?

 現在、この記事を読んでいただいている読者様はきっと「通関士に興味がある」「通関士試験を受けてみたい」という方が大多数であると思われます。
 今回も「元」通関士が、「通関士の単なるお仕事紹介」ではなく、今後通関士試験を突破し、通関業者の通関士となった場合における「通関士となったあなた」と「税関」の関係について、お話を進めていきたいと思います。

 ただ、前提として「税関」には都道府県にそれぞれ官署、支署がありますので、すべての税関に当てはまるわけではございません。
 

「通関士」と「税関」は敵対関係?それとも「通関士」は「税関」の言いなり?
 両方とも間違っています!!

まず、皆様は「税関」というと、どんなイメージでしょうか?

「〇〇港で大量の麻薬を税関検査で発見、摘発、押収した」
「不正輸入の疑いで輸入者と通関士をともに処分を行った」

など、とにかく「常に輸出入者と担当通関士の不正を見つけるために、目を光らせ、揚げ足を取ってやろう」という「税関は、とにかく厳しい」イメージをお持ちであるかたも多いのではないかと思います。
 このイメージは、もちろん「一部は当たっている」のですが、このことには「大きな前提条件」がつくことになります。

つまり、私流に正しく言い直すと、
 税関は「いい加減な輸出入を行おうとしている」輸出入者と(その輸出入者の委任を受けて通関を行っている)通関士には厳しい

ということが結論となります。

「税関」は「正しい申告をしようとする」者に対しては、常に親切であり丁寧である。

 たしかに、私の入社した約20年前は「横柄な税関職員」という方は一定数、存在していました。ただ、それは税関に限らないことであって、身近な「市役所や区役所」等にも「横柄な職員」が居た時代でした。
 時代は流れて令和となった現在、「横柄な税関職員」という人たちは姿を消し、「申告上の困りごとに対してキッチリ相談に乗ってくれる親切、丁寧な職員さんばかり」というのが私の現在の印象です。

 実際に、私は直近7年間は「輸入通関士」であったため、「税関職員」と呼ばれる方々に数々の相談をし、アドバイスをいただくことが多々ありましたが、

 「通関士を下に見て、横柄な態度をとる税関職員」には一切、遭遇したことはありません。これが事実です。

通関士が困るのは「税関の厳しさ」ではなく「担当する顧客がいい加減だった」場合

税関は
「いい加減な輸出入を行おうとする輸出入者と担当通関士には厳しい」
と、冒頭で私は書きました。
 
つまり、今回のテーマである「通関士」と「税関」の関係は
「自分が担当する輸出入者の質」
に左右されると言っても過言ではありません。

 これは、決して「一部上場企業だからいい」とか「個人で商売をしている貿易会社がダメ」というわけではありません。輸出入者が自ら税関申告における「貿易背景」や「申告書類」を適切に把握しており、常に「正しい申告をしようと心がけて」いれば、「税関」=「通関士」=「輸出入者」の関係は悪化せず「敵対」である必要もなく、「言いなり」である必要もないということです。

 よって、もし今後において「通関士のあなた」が苦労する場面があるとすれば「この3者の関係が崩れた」場合であり、私の経験上においても、その原因のほとんどが「いい加減な輸出入者」の出現によるものなのです。

安心してください「いい加減な輸出入者は少数派」です。

 当然、「いい加減な輸出入者は少数派」なので、過度に身構える必要はありません。
 しかし「税関」=「通関士」=「輸出入者」のバランスが崩れると、「通関士が板挟み」となるので、「税関が厳しすぎる」または「輸出入者が全然協力してくれない」などと感じてしまうことがあります。
 そんなときには、この「バランスが崩れていないかな?」を意識しながら、調整を進めていく必要があります。「通関士のあなた」が積むべき経験は、もちろん「通関士試験で覚える」法律やHSコード、申告書の作成がメインとなるのですが、このような「バランス調整」も重要になってくることも覚えておいていただきたく思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 


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