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シャトルバスドライバーは本日も快走中です!!#14

6月19日(水)18:05「今日の運行、中止します!!」その決断、流石です。

 ショッピングモールの責任者は「支配人」だ。私も、乗務初日の挨拶の時に直接、名刺をいただいている。
 会社勤めが長かった私は「支店長や所長」「部長」などの名刺は、いただいたことがあるのだが「支配人」と書かれた名刺は、珍しく感じていた。
 そして現在、末端ドライバーの私は「ショッピングモール支配人のような雲の上の存在の人と顔を合わせるのは、これが最初で最後だろう」と思っていたのだが、実はそうではなかった。
 「支配人」は、毎日とは言わないが、ショッピングモール事務所でも、普通に見かける存在である。
 「ノートPCに向かって事務作業」をしていたり、「設備業者らしき人たちを引き連れて、打ち合わせ」をしていたりと「事務と現場のオールラウンダー」というイメージだ。
 もちろん、私に気付いた際には声かけをいただいいているなど、結構「身近な存在」である。

 その日、「支配人」がシャトルバス乗り場に駆けつけてきたのは、まだ日没までも十分に時間がある18:00頃だ。

「しぇるてんさん、今日は19:00以降の運行を中止します。ターミナル駅のバス停に、コレを貼って来て下さい。」

と、渡されのは「運行中止のお知らせ」と印刷されたA4の紙だ。

 バスの中には3交代勤務となるドライバーのために「乗務日誌」がある。直前の交代ドライバーなら「直接、口頭で」引き継ぎを行えるが、例えば「始発と終バス」のように勤務が離れている場合は「伝言ゲーム」となってしまうことで、十分に伝わらないことを回避するための工夫がしてあるということになる。
 その日の乗務日誌には、ドライバー引き継ぎ事項として

「ヘッドライト点灯せず、球切れ?報告済み」

と記載されているのを確認していた。多分「始業前点検」で異常を確認していたのであろう。

そして、支配人が慌てているのは、どうやら「日没までにヘッドライトの点検修理、電球交換が間に合わない」ようである。

路線バス会社であれば、営業所にいる「常駐メンテナンススタッフ(メカニック)」がいないショッピングモールのシャトルバス。時には大胆な決断も!?


 今回は日没を考慮した19:00以降の運行中止であるが、通常とおりの「終バスまでの運行」であれば、平日と言えども「まだ、100名程度の利用」が見込まれる状況である。

 「ショッピングモールに行くには、路線バスしかないのか?バス運賃は自己負担なのか?」などの苦情対応に事務方は追われることにもなるであろう。

 「運行中止」は、たとえ「マニュアル化」されていたとしても深刻な状況であり、「支配人しかできない大きな決断」であることは間違いない。

 通常、路線バス会社等であれば、「営業所にメカニックが常駐」しているので、大抵の故障トラブル等はすぐさま対応できている。最悪の場合は「車両の入れ替え」でも対応することが可能であり「運行中止」に追い込まれる状況は考えにくい。

 一方、シャトルバスはメンテナンススタッフ(メカニック)が「外注」となってしまうので、「修理ができない場合の運行中止」も想定しておかなければならないことになる。

 その決断も含めて「支配人」の裁量となれば、その責任は想像以上に重い。

 この一件で「シャトルバスの維持の大変さ」の一部を理解したわけであるが、末端ドライバーの私にとっては「もう少し、がんばって働ける環境だな」とも思っていた。

「ヘッドライトは点かないけど、運転手さんのテクニックで、夜間走行なんとかなりませんか?」

など、意味のわからない交渉をされてしまっては、そこには「失望」しか生まれない。失望どころか、「すぐ、退職を検討すべき職場」である。

 今回の支配人の決断は、その職場で働くものにとっては「潔い」ものであったと感じている。

 ただ「利用者目線」であれば、

「運行中止なんて、ありえないでしょ」
「危機管理できてないんじゃないの?」

と言われてしまう状況であろう。

もちろん、私はその職場で働く「末端ドライバー」。

支配人、応援してます。これからもがんばってください!!


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