ヤン富田レビュー

ヤン富田

80年代から90年代にかけて日本の音楽シーンで異彩を放ったミュージシャン。 ヒップホップ、ダブ、ラウンジ、現代音楽など様々な分野を股に掛けて活動、 日本におけるそれらのジャンルの成立、発展に多大な影響を与えた。

Music For Astro Age
 B

[総評]
1992年。 サウンドプロデューサー、スティールパン奏者として活動してきたヤン富田の初アルバム。 スティールパンをフィーチャーしたサウンドに始まり、 ジャズ(サン・ラのカバー)、ダブ、サウンドコラージュ、電子音楽、ミュージックコンクレート、現代音楽etcと、 様々な種類の音楽が詰め込まれている。 内容はかなり前衛的だが、 ヤン富田のサウンドプロダクションによってギリギリ「ポップ」の枠に入っている、と言った感じのアルバム。
「宇宙時代の音楽」という題名通り、かなり時代を先取りした作品で、90年代のポップミュージック、 特にコラージュやサンプリングを駆使するようなタイプのアーティストに絶大な影響を与えた

Music For Living Sound
 C-

[総評]
1998年。 前作「Music For Astro Age」はかなり前衛的な作品でありながら、 要所要所はポップなサウンドでまとめられていたのだが、 今作は完全に前衛音楽の領域に入り、いわゆるミュージックコンクレート色の強いアルバム。 「Living Sound」という名の通り、生活音をサンプリングしたものや、 人間の生体パルスや脳波を電子音に置き換えたもの、それらを素材とし楽曲として再構築する、 という手法が採られている。
所々にポップミュージック的な要素はあるものの、全体を通して非常に前衛的、現代音楽的なアルバムで、 どちらかと言えば聴く人を選ぶタイプのアルバム。

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