4heroレビュー

4hero

マーク・マックとディーゴからなる音楽ユニット。90年代前半にイギリスで生まれた音楽である「ジャングル」あるいは「ドラムンベース」を代表するアーティストとして知られる。ジャズのエッセンスを交えたサウンドに特徴がある。

Parallel Universe
 A-

[総評]
1995年。4heroの代表的な作品で、「ドラムンベース」というジャンルを代表するアルバムのひとつでもある。後の作品で徐々にドラムンベース色を薄めていく4heroがドラムンベースの代表的アーティストとして見なされるのは、このアルバムによるところが大きい。
デトロイト・テクノの影響も伺える、浮遊するようなシンセサウンドを多用したドラムンベースがアルバムを通して展開されている。アルバムタイトル通り「宇宙的な」雰囲気を感じさせるサウンド。ゲームのBGMで言うなら「初代サルゲッチュ」はこの作品の影響が大きい、と思う。

Two Pages
 B

[総評]
1999年。 2枚組アルバムで、ディスク1とディスク2で大きく作風が異なる。ディスク1がマーク・マック、ディスク2がディーゴを中心として制作された。ディスク1はストリングス等の生楽器音を中心にしたジャズ的なドラムンベースとなっており、ディスク2は深度のあるダークで複雑なドラムンベースとなっている。
アルバム全体として、シンボリックな、預言書的コンセプトが貫かれており、ジャケットや曲名にそれが表れている。サウンド面ではディスク1のクオリティが高く、後のアルバムはそういったジャズ的要素を強めていく傾向にある。 

Creating Patterns
 B

[総評]
2001年。 ドラムンベースとして知られるアーティストであるが、今作になるとドラムンベースというよりは、いわゆるクラブジャズ的な要素の強いサウンドになっている。とはいえ、ドラムンベースの要素が完全に失われたわけではなく、所々に時折、特徴的なドラムフレーズが見られる。 前作でもそうであったように、マーク・マックとディーゴそれぞれの作風が顕著に表れており、マーク・マックはジャズ、ソウル寄り、ディーゴは電子音楽寄りのサウンドを展開している。
アルバムの最後に70年代ソウルのカバー(「Les Fleur」)を持ってくるところに、このアルバムの位置付けが象徴されているように思う。 

Play With the Changes
 B+

[総評]
2005年。 前作ですでにドラムンベースの要素は薄まっていたが、今作でもその傾向は続いており、ジャズ、R&B要素の強いサウンド。それぞれが個別に制作した楽曲を持ち寄って出来たアルバムということで、前作同様2人の作風の違いが表れている。しかしながら、前作では2人の制作する楽曲のジャンルがはっきり異なっていたのに対し、今作ではアルバム全体としてうまく調和されており、前作と同じ路線のアルバムでありながらクオリティは充分に高められている。
「Parallel Universe」から10年経ち、もはやそれとは全く異なる音楽性を展開してはいるが、アルバムの完成度は高い。

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