オリエント美術の世界 〜イスラームグラス 聖なる香りを閉じ込めたガラス器〜
イスラームグラスとは、7世紀以降に中東世界を支配下においたイスラーム勢力の文化圏で生産されたガラス製品のことを指す。イスラームは宗教上の思想で偶像表現を禁忌した。だが、その結果アラベスク文様などの植物文様を発達させる。また、無地でシンプルではあるものの、機能性を発展させた生活用品を遺した。そんな彼が愛して止まなかったのは、香料から精製される芳香だった。イスラームの人々にとって香りは癒しの役割の他、宗教上でも非常に重要だった。芳香は神から与えられた神聖なるものだったのだ。それゆ