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古代オリエント美術の世界

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なぜ古代文明なのか?それは古代について知ることは、現在の私たちについて知ることだからです。人間の基本的な部分は古代から変わっていません。そして何より、人間の歴史とは「戦史」でした…
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2019年4月の記事一覧

オリエント美術の世界 〜イスラーム〜

アフガニスタンのマザーリ・シャリーフで出土した考古遺物を紹介します。マザーリ・シャリーフは「聖なる墓所」を意味しており、この地名は15世紀に第4代カリフのアリーの墓が発見されたことに由来しています。 メディアによっては長母音を省いて「マザリシャリフ」と記されることもあります。日本では「マザーリ・シャリーフ」と表記するのが一般的です。そう言っているように聞こえるからです。しかし、厳密には「マザール・ィ・シャリーフ(Mazar-e-Sharif)」のほうがより忠実な発音のカナ表

オリエント美術の世界 〜エジプト〜

文明を完全に理解するには、やはり彼らが残した出土品を観ていく他ない。なぜなら、原資料は語るからだ。教科書では教えてくれない真実を。 《エジプトの装飾品》 古代エジプト人は死こそが本当の世界のはじまりと信じていた。そのため、墳墓に豪華な副葬品を埋葬し、死後の冥福を祈った。また、彼らにとって装飾品は魔よけの効用を持つ大切なアイテムだった。当時の装飾品はもちろんファッションとしての機能も果たしたが、宗教的な意味合いで制作される部分も大きかった。 ファイアンス製ウジャトの護符

オリエント美術の世界 〜西南アジア〜

古代エジプトの墳墓からは、ラピスラズリ製の副葬品が出土する。だが、エジプトでラピスラズリは産出しない。このラピスラズリは一体どこから来たものなのだろうか?それはアフガニスタンのバダフシャン地方から産出したものだった。このことは成分分析からも明らかになっている。 ラピスラズリの原石 研磨したラピスラズリ つまり、少なくとも前3000年紀にはすでにエジプトとアフガニスタンをつなぐ交易ルートが確立されていたことになる。これを機に私は西南アジアの古代文明にも興味を持つようになっ