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アンティークコインの世界

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前7世紀に世界で初めて金属製の円形コインがリディア(現在のトルコに位置した古都)で発行された。物々交換の効率の悪さから解放され、小さく軽く携帯しやすいコインによって人間はさらに商…
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2021年11月の記事一覧

アンティークコインの世界|アルフォンソ13世5ペセタ銀貨とスラブのおはなし

今回は、スペインコインについて紹介していく。この度も発行背景等の歴史だけでなく、スラブに関する内容も交えて述べていく。スラブについての連載は、スペイン→イギリス→ギリシア・ローマ→メキシコと来て、またスペインに戻る。 私はかつてからスペインコインに惹かれており、特に彼らが発行した大型銀貨に魅了され続けてきた。収集の初期からスペインコインには注目しており、現在に至る。独特の雰囲気を持ったスペインコインは、収集を存分に楽しめる最高峰のジャンルのひとつだろう。 図柄表:アルフォ

アンティークコインの世界|メキシコ8レアル銀貨とスラブのおはなし

スペイン王国の影響を受けた南米の国々のコインは、私の好みのひとつである。何より当時使用された南米の貿易銀は、大型で非常に見応えがある。また、細分類も無数に存在し、奥がとても深いのだ。 今回紹介するのは、メキシコで発行された8レアル銀貨である。リバティ・キャップと蛇をくわえる鷲というシンプルな図柄だが、なぜか惹き付ける魅力を持っている。 今回はこの銀貨を紹介しつつ、数回に亘って連載しているスラブのもう一歩踏み込んだ見方についても併せて解説していく。スラブの見方が分かると、様

アンティークコインの世界|古代コインとスラブのおはなし

今回でスラブについての記事は3つ目となる。前回、前々回同様に今回もスラブを中心に展開していくが、タイトルの通り古代コインのスラブについて述べていく。古代コインのスラブは通常のコインとは異なる形式の評価制度が採られているため、この機会を通じて少しばかり紹介していきたいと思う。今回はヘレニズム時代とローマ時代のコインをそれぞれ一枚ずつ例として取り挙げていく。 図柄表:アレクサンドロス大王 図柄裏:アテナ 発行地:エジプト王国アレクサンドリア造幣所 発行年:前311〜前304年頃