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英国挿絵画家の世界

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20世紀、英国では絵本挿絵の黄金時代が訪れた。この時のアーティストらを超える新人はいまだ現れていない。それくらい当時のレベルは高く、今日に名を残すスーパースターたちが誕生した。こ…
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2024年2月の記事一覧

リヒャルト・ワーグナー、アーサー・ラッカム『ニーベルングの指環』1910年、1911年初版

リヒャルト・ワーグナー『ニーベルングの指環』アーサー・ラッカム版1910年/1911年初版のカラーイラスト「ラインの黄金」「ワルキューレ」全34枚、「ジークフリート」「神々の黄昏」全30枚を撮影したので公開する。本作は全4部作に及ぶ長編のため、上下巻で発表された。 全4章からなる『ニーベルングの指環』シリーズの「ラインの黄金」と「ワルキューレ」の2章を収録した一冊。ニーベルングの指環の魔力を狙った者たちの争奪戦と英雄を導くワルキューレである美女ブリュンヒルデの苦悩を描く。

チャールズ・ディケンズ、アーサー・ラッカム『クリスマス・キャロル』1915年初版

チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』アーサー・ラッカム版1915年初版に収録されている全12枚のカラーイラストを撮影したので公開していく。その他、モノクロイラストの一部を掲載した 。 本作は強欲で冷酷な商人エベネーザ・スクルージがクリスマスに過去、現在、未来を司る3人の亡霊と出会い、非日常的な体験をする物語。彼は時間を超えて旅する中、人の心の温かみや優しさの大切さを徐々に知り、改心していく。ディケンズを作家として世に知らしめた記念碑的作品と言え、幾度も映像化されて

ルイス・キャロル、アーサー・ラッカム『不思議の国のアリス』1907年初版

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』アーサー・ラッカム版1907年初版の全13枚のカラーイラストと一部のモノクロイラストを撮影したので公開する。 オックスフォード大学の数学講師チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンのもうひとつの顔は、作家ルイス・キャロルだった。本作は、ドジソンの職場の上司ヘンリー・リデルの娘アリス・リデルのために書かれたものだった。ある夏の日の午後、ボートの上でアリスに即興ファンタジーを聞かせていたドジソンは、彼女からこの話を本にして欲しいとねだられる。そう

ウィリアム・シェイクスピア、アーサー・ラッカム『真夏の夜の夢』1908年初版

ウィリアム・シェイクスピア『真夏の夜の夢』アーサー・ラッカム版1908年初版の全40枚のカラーイラストの他、一部のモノクロイラストを撮影したので公開する。 本作は、ギリシア・アテネ郊外の森を舞台に若者たちが妖精の魔法に操られて繰り広げる恋愛ファンタジーである。シェイクスピアの傑作のひとつで、成立は1594年〜1596年頃とされている。『ロミオとジュリエット』が完成し、『ヴェニスの商人』の構想段階だった頃の作品である。 本作は古代及び中世から伝わる神話から着想を得ており、オ

フリードリヒ・フーケ、アーサー・ラッカム『ウンディーネ』1909年初版

フリードリヒ・フーケ『ウンディーネ』アーサー・ラッカム版1909年初版の全15枚の挿絵を撮影したので公開していく。その他、モノクロイラスト一部掲載した。 本作は1811年にフリードリヒ・フーケが出版した小説。水の精霊ウンディーネと騎士フルトブラントの恋、そして、その悲劇的な恋の結末を描いたファンタジーである。 旅の途中、騎士フルトブラントは老父と出会い、彼に一晩泊めて欲しいと願い出る。フルトブラントは、老夫婦の家にいた養子の少女ウンディーネに魅せられる。翌日、洪水でフルト

J・Mバリー、アーサー・ラッカム『ケンジントン公園のピーターパン』1906年初版

J・M・バリー『ケンジントン公園のピーターパン』アーサー・ラッカム版の1906年初版の全挿絵を撮影したので公開する。本作は挿絵画家ラッカムが注目を浴びるきかっけとなった代表作である。当時の子どもたちのクリスマス用プレゼントブックとして飛ぶように売れた。挿絵は全50枚で、物語の間に挿入されるのではなく、巻末にまとめた形で挿入されている。そのため、巻頭に挿絵リストが用意されている。挿絵の多さには、ラッカムの筆の早さが窺える。これだけ細密な挿絵を数多く用意するのは至難の技である。