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娘に贈る回顧録 18/7300    ひと言が…

『わかってる!』
『言われなくても、わかってるってば!』

毎日繰り返されるやり取りに
お互いうんざりする。

思えば、確かに口うるさい母親だった。
洗濯物片付けなさい。
読んだ本は棚に戻して。
食器は流しに持っていって。
宿題は?
プリントは?
傘持っていきなさい。
帰りは何時?

『今やろうと思っていたのに!』

高校生
言わなくてもわかってる。
言わなくても出来る。
言わなくても。

私が目についたところから指摘していた。

彼女の予定も、都合も、
全く考えなかった。

「じゃあもう何も言わないから、
自分で責任もってやりなさいな」

むきになって言い放つ。

どうせ失敗して、困って泣きついてくる。

学校の資料が置きっぱなしでも、言わない。
靴下が片方落ちていても、見ない。
洗面台に時計、触らない。

1日目。
案の定何かを探してる。

2日目。
クローゼットがぐちゃぐちゃ。

3日目。
枕元に教科書が散乱。

言いたい。手を出したい。
明日までに片付けなかったら言おう。
気になって黙っているのも辛い。

夕飯前、リビングから荷物がなくなっている。
ベッドの上もスッキリ。
本棚もきれいに並べてある。

いつの間に片付けたのか。

『やる時はちゃんとやるのよ、私だって』
得意気に言ってくる。

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「じゃあ、言われる前にやりなさいな」
「いつもこうだといいのにね」

余計な一言。

『わかってる!』
『言われなくてもわかってるってば!』

また、繰り返し……