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娘に贈る回顧録 24/7300 雨の記憶


雨のなかを歩くのが好きだった
通園の時も、お休みの時も

ピンクのカッパに、ハットをかぶって
白い長靴

私も同じように、傘は持たない

近くの公園
桜の並木
田んぼのあぜ道

ただ、雨の音を感じるために外に出る

河原に座って、水の流れをながめる

湿った風を顔に受けて、
空気を吸い込む

水溜まりをゆっくり歩く

「そろそろ帰ろうか」

家に着くとお風呂場に直行
温かい湯船に飛び込む

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『雨粒がビニールにあたって滑っていくのを、
     見ていたのが最初の記憶』

ベビーカーの中から手を伸ばして、
レインカバーの雨粒をつかもうとしていた
2歳の頃

『今も、傘にあたる雨音が好き』

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家のことや、子育てのこと
これから先の不安ばかり考えて
暗い気持ちで歩いたこともあった

無邪気な笑顔に幸せな気持ちに
なったこともあった

外に出るのを面倒くさいと
思った時も、正直あった

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今では2人で散歩することもないけれど

雨の日は頭も痛くて、
憂鬱になるけれど

ひとり窓の雨粒を眺めて
小さなあなたとの思い出を綴ってみる。