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戦後のおやつと隔物灸

往診をしていると、必ずといっていいほど
昔の食べ物の話になる。

例えば、春には油は菜種を育てて 油屋さんに作ってもらったり、
秋には大豆を醤油や味噌を麹屋さんに頼んで作ってもらう。
塩は塩釜で作った塩だったろうし
砂糖も精製されてない茶色い砂糖だっただろう。
今の調味料とは味が違う。
食べ慣れた調味料が恋しいと言う方も少なくない。
昔は全て本物しかないから、きっと美味しかったんだろうなと思うと、羨ましい限りである。

そんな話の中で食べてみたいなと思っているものがある。
草餅の凍餅だ。

餅草(よもぎ)を茹でて潰して
おもちと合わせて それを伸ばして四角く切り
寒い日にそれを干すとカサカサの凍餅になる。
それをずっと 干しておいて、春から夏にかけてのおやつになるのだ。

確か、水にうるかして戻してから 
焼いて食べるらしい。

疑問に思うのはよもぎが採れるのは春だ。
冬の間にどうやって、よもぎを手にいれのるのか。

調べてみると、乾燥させて冬まで取っておくらしい。どうやら、福島の独自の食べ物みたいだ。

私の往診している地区では、よもぎを乾燥させ
民間療法としてお灸をしたと言ってる方が何人かいたのだ。
モグサを丸めて 生姜やニンニクの上に置いて
モグサに火をつける。
鍼灸用語でいうところの隔物灸だ。
(何かを台座にしてその上にモグサを置くことで
熱さを調節できるし、生姜やニンニクの効果も期待できる。)

そう思うと、よもぎは春から夏に刈り取り
いろいろなものに活用していたのかもしれない。

今でも田舎の方ではいっぱい生えているよもぎ達。もう少し余裕ができたら いろいろ活用法を調べて実践してみたい。


あとは、木になってる熟した梅の実を食べたり
桑の実
グミの実
夏みかんもブルッと震えるくらいすっぱい夏みかんだったらしい。
冬には干し柿。

そんな話しを聞いてると 昔ながらに楽しみを見つけて 美味しいものを食べていたようで、今よりずっと豊かな暮らしだったのかもしれないなぁと思う。体にも良さそうだ。




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