おんなのこ


生きていく上でのルールはむずかしい。
女の子はムダ毛をそる。メイクをする。シワのない柔らかな服を着る。聞き上手で、それでいて芯があって、甘え上手。
髪はサラサラで月1回のサロンは欠かせない。
それでようやく私は、普通ぶったように生きていきます。
朝は起きられないし
髪の毛はくせ毛で、体毛は濃くって眉毛なんか2日にいっぺんくらい抜く。

とびきり美少女になった夢を、しばしば見る。
このとびきり美少女は、何もしなくてもとびきり美少女。みんながわたしに優しくするの。
可愛いだけで生きてる価値があって、可愛いだけで主役になれる。
空気のように毎日かわいいを浴びて、かわいいまんまで眠る。
ねむる。ねむる。

目が覚めると、とびきり美少女なんかじゃない私のまんまで今日を迎えて絶望。

私のことを全然好きでもない男の子と、私のこと全然好きじゃないんだろうなあ、って日々を生きている。

私はとびきり可愛く生まれたかったし、とくべつな女の子でありたかった。
努力と呼べるくらいの行いを続ければ今より少しくらい可愛くなれるかもしれないけど、特別になるために必要なのは努力なんかじゃない。
生まれた時から可愛くあることと、生まれた時から可愛く生きること。

キャバクラの仕事は好きじゃない。
可愛い女の子との時間を金で買いたい男からすると、私では役不足(本来の意味は逆らしいけど)、不満らしい。
それでも、こういう私みたいなのもいるから、キャバクラで目立てる子がいるんじゃないかと。
月並み、及第点にも及ぶか及ばないか、及ばないか。ってくらいの私は、キャバクラで働かなければそんなに惨めな思いはしないんだと思う。
この程度の容姿でわざわざこういうフィールドに立ちに来たからには、少々我慢が必要らしい。
そういう人生が嫌になった。
私は特別でありたかった。

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