【書き出し用】年単位で放置された18禁_二次創作の続きを書こう2_薄桜鬼_狂咲鬼哭_9
千鶴の言葉をばっさり切り捨てつつ、風間は自分の吐いた言葉と滑稽さに複雑な気持ちを抱いた。
傷つけば再生できる肉体を持つ自分が、なんて感傷的な台詞を吐いたものだと。こんな心情に至ったのは、函館で千鶴と別れて以降の己の無力を思い知り、もう、西の頭領としての自分はお役御免となったからかもしれない。
自分も雪村家のように、誇り高く生きたかった。
人間に使役されて、雪村のように里を滅ぼされることを恐れて、己の気持ちを、ただひたすら押さえつけていた自分が歯がゆくて仕方がなく、そして、楽だったのだ。
壊れたものは二度と戻らない。
肉体が何度も再生するがゆえに歪んだ認知。
周囲との認識に差が開いていても、風間は存在しないものとして扱った。
そんな風間を里の代表者たちは見限り、鈴鹿薫となった雪村の遺児に支持が集まるのは当然の流れだったのだ。
暗く沈む風間の変化を知りつつも、千鶴はぽつりと続けた。
「分かっていますが、信じたいのです。父と過ごした江戸での幸せだった時間が本当であったことを」
「つづく」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?