【書き出し用】年単位で放置された18禁_二次創作の続きを書こう_薄桜鬼_狂咲鬼哭_74
未来と運命の不確かさに頭を抱えて、いっそ未来なんて視えなければよかったと思うのは、ぜいたくな悩みなのは分かっている。
どんなに美化しようとも、この国の政権は権力に弓ひいた逆賊によって握られて、内戦を平定しても尚、薩摩だ長州だ土佐だと政局が混乱しているのだ。外圧や変若水の脅威も解決されないままでは、人間たちが鬼の力を頼ろうとするのも想像に難くない。
鬼も人間も幕末以上に不安定な情勢であり、頼み綱が薫の持つ予知能力であるのだ。そして、千姫と自分の間に生まれてくる娘が、新たな八瀬姫となるのだが、娘の歩む未来を知っているからこそ、母である千姫以上に薫は娘に対して複雑な感情と罪悪感がのしかかってくる。
それは薫の父である、先代の雪村家当主が運命に逆らった罪であり、薫が生きたいと願った罰でもあるのだ。
もし仮に千鶴と薫が十年前に、父の手で果てていたとしたら、千姫が八瀬姫の能力を覚醒させて、千鶴にあてがわれる予定だった八瀬家の縁がある男と結婚し、その娘も運命の矢面に立たされる。
そう、どう足掻こうとも強制力とつじつまが、当事者たちにのしかかってくるのだ。
つづく
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