ヴェルレーヌ詩集引き写し
堀口大學訳『ヴェルレーヌ詩集』を読んでいて、気になった言葉を抜き書きしていく。が、勝手に(堀口の)原文を改変したり、もしかすると自分のスケッチみたいなものも含まれているかもしれない。打ち込んでいく間に決める。ようするに、ヴェルレーヌの詩集を通過したあとに自分の中に残った言葉たちで、きわめて個人的なメモ。
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血液と毒薬 / 土星の子と不幸 / 生涯の構図の線 / 衰えた秋の空と鶫(つぐみ) /
北風鳴り渡る黄葉の森 / 咲く初花のかんばしさ! / 肌は花色 / 羽根ぶとんの上の恋のいくさごっこ /
友達よ、明日には忘れる誓いを立てよう / イデアの女 / エデンを追われた原人 /
よく晴れて暖かい九月の午後の空に飛ぶ燕たちより軽い迷惑 /
塔と風見 / 紅の幽霊 / 角笛 / ワットー下絵、ラフェ刻の版画 / 読者もいない小説に人知れず生きる女 /
歯列の鍵盤 / 唇に降りてくる接吻 / ミイラの甘夢 / 死者はなんの夢を見ている? /
太陽が置いてゆく赤い唇 / 芝青き園 / 恋の巡礼 /
黎明が広がり夜が明けてゆくのだから、
長いこと僕を逃れた後で、願いを聞き入れて
希望がまた僕のもとへ帰ってきたのだから /
義務さえ幸福となる / 夜明けの光と一緒に雲雀が空へ舞い上がる / 実りきった麦畑のおびただしい歓喜 /
大きな希望を通して僕はあなたを見る / 平和な星のまなざし / あなたのまなざしの中にある朝 /
空気の中にちらばったよろこび / 炎が炎をとりまくように胸の理想に理想がかさなる /
白魚の細き指の口づくるピアノは光る / 苦悩が彼の眼を開く /
古い心臓の血の一筋が赤く迸り、花を染め、陽を受けて蒸発する /
鵞鳥の行列みたいにありふれた埃っぽい道を辿り続けた古ぼけた幸福 /
陽光は長い炎の縞目を描いて一日中、丘の葡萄の上に座っていた /
家畜小屋の中の一筋の藁屑ほどに光る希望 / 青いスグリの実の匂う霞の奥の明るい海 /
大寺院よりも美しい海 /
君が詩句に翼あらしめ
魂の奥所より出で、別の空、別の愛へと
天翔ける歌たらしめよ /
潮風に濡れた僕の目
この暗い不気味な夜の海上の二つの星 /
慈善病院の一室で死んでゆくお前 / 聖櫃と十字架 / 言葉と血を封じる永遠の望み
すべて酒とレコードと本に使わせていただきます。