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電通大夜間課程(特別編入学)の入試について

電通大(電気通信大学)の夜間課程である先端工学基礎課程、2023年度特別編入学試験に合格した @shc と申します。自分が入試について考え始めたとき、情報が少ない中で、noteで体験記を書いてくださっている方が数名いて、非常に参考になりました。働きながら学びたい方のお役に少しでも立てればと思い、2023年度の入試や入試準備がどんな感じだったかについて書きたいと思います。

ちなみに私は入学前、こちらの方のブログを大変参考にさせていただきました。こちらは特別編入学ではなく、総合型試験の受験体験記ですので、そちらを受験される方は特に参考になるかと思います。
ちなみに、総合型選抜と特別編入学では、標準修業年限が4年と2年という違いがありますが、それ以上に、募集人員が前者は30名、後者は3名と大きく異なります。
総合型選抜の方が合格者数の観点で合格しやすいと思うので、卒業までの時間に余裕のある方はそちらをお勧めします。3人だと、たまたま優秀な方が3名受験すると不合格になってしまうので、けっこう博打だなぁと、改めて思います。


自己紹介

文系学部卒。IT企業のコーポレート部門アラフォー会社員。完全なる文系キャリア。

入試概要

第1日目 筆記試験(英数物化合わせて2時間)
第2日目 面接
例年平日に実施されるので、有給をとる必要があります。特に、2日目の面接は、直前まで面接時間が明らかにならないので、半休ではなく、1日休暇を取得しないといけない感じです。時間をもっと早く指定してもらえると半日休暇で済むのですが。。。

出題範囲

本記事はあくまでも私見ですので、受験を検討されている方はご自身で募集要項、過去問等をご確認ください。
募集要項を見ると、総合問題では理数的基礎知識及び論理的思考力等を問う旨の記載があり、試験範囲が数学ⅠAⅡBなのか、数学Ⅲなのか、大学1・2年までの数学なのか、明記はされていません。
大学3年次への編入試験であることを踏まえると、当然、大学2年生までの数学が試験範囲と考えるのが自然です。
物理と化学についても同様と思います。

しかしながら、2019年~2021年の過去問を見ると、昼間部の特別編入学試験の過去問とは異なり、夜間課程のそれは、高校の範囲がほとんどを占めています。
おそらくですが、受験生はほとんどが社会人ですので、無職の方や高校生、高専生、大学生と比較して、勉強に当てられる時間が少ないことを考慮されているのではないかと思います。とはいえ問題は簡単ではないです。。。

出題傾向

数学

2019年~2021年の過去問を見る限り、数Ⅱの微分積分、立体図形、場合の数・確率が良く出題されているように感じました。とはいえ、ベクトルや三角関数、数列も出題されているので、傾向性はあるものの、特定の範囲に偏りはなく満遍なく出題されている印象です。

物理

2019~21年の過去問を見る限り、電磁気学が必ず出題されているように感じました。力学、熱力学、円運動も良く出題されている印象です。波?はこの3年間は出題が無いようでした。

化学

2019年~2021年の過去問を見る限り、無機化学、理論化学から出題されていて、有機化学からは出題されていない印象です。特に、原子、物質の性質、ヘスの法則、電池、電気分解から出題されている印象です。

受験対策全般

まず前提として、筆者は完全なる文系なので、物理も数学Ⅲも学んだことがありません。理系の方は状況が全く異なると思うので、文系受験者に特有の戦略になるかもしれません。
また、2019年~2021年の過去問を見て、勝手に出題範囲を限定(数学Ⅲや大学の数学は入試に出ないんじゃないか。入学するまでに勉強すればいいだろう。)して、受験を検討しましたが、2023年度入試では、総合問題と面接で数学Ⅲと線形代数、大学の微分が出題されました(と思います。わからなさ過ぎて分野にも自信が無いです。)。正面から勉強すると、準備期間に比して範囲が膨大なので、文系の方は特別編入学ではなく、総合型試験を受験した方がよさそうです。

全体

先端工学基礎課程の特別編入学について、過去の平均点や合格点、問題ごとの配点等は公表されていないと思います。なので、対策というか、合格の確度は予測が難しいです。
他の方のブログ等を読むと、数学と英語で得点して、物理と化学は捨てる、という戦略の方が数名いらっしゃいました。総合型はこの戦略もありかもしれません。特別編入学は合格枠が3名なので、このやり方ではただの博打になってしまいます(そもそも文系が受験するあたり博打ですが。)。
大問の数は毎年変動がありますが、私は合格する場合の仮想得点を配分して、得意・不得意を考慮して受験勉強の時間を割り振りました。
(想定合格ライン)
数学80%、物理60%、化学70%、英語60%。総合65%あたりを想定ラインにしました。
(学習開始時の状態)
数学:20年くらい前に数ⅠAⅡBを学んだ。昔得意だった気がする。数Ⅲはやったことない。物理:中学で学んだところで終わり。高校は未履修。化学:高校で学んだような、そうでもないような、昔過ぎて記憶なし。英語:大学卒業程度。
(勉強時間の割振り)
想定合格ラインと現状との差が大きいものに時間を割きました。
さらに、文系数学は得意だけど確実に得点しないといけない、化学は少しやったことがあるけど難しそう、物理は初めてだけど逃げられない、英語は今からやってもそんなに伸びないだろう、といった良くわからない変数を乗じて、勉強時間の配分を、数学:物理:化学:英語=6:8:5:1くらいにセット。4月から11月までだいたい33週。平日3時間、土日は6時間くらい、週27時間を目標に設定。(目標はあくまでも目標。自分に負けまくりの日々でした。。。)

数学

場合の数・確率、微分積分、三角関数を中心に、数学ⅠAⅡBを勉強しました。青チャートと過去問のみ。昔、得意科目だったので、最初は思い出すのに時間がかかりましたが、定義を再び記憶し、後はひたすら演習あるのみ。
入試本番を経験して、数学Ⅲと大学の線形代数、微分積分はやるべきだったと後悔しました。入学までに必死で勉強しないとですね。

物理

初めて学ぶ物理。何から手を付けたらよいのか分かりませんでしたので、まずは高校の教科書を購入。ここで、「物理基礎」と「物理」と2科目あることを知る。初心者にはわかりにくいですが、両方必要です!
2冊読むのは煩わしかったので、両方が入った「チャート式」という参考書を購入し、教科書は途中でやめました。ネットで評判の参考書「物理基礎・物理が面白いほどわかる」シリーズを購入しました。私には全然わかりやすくなく、数日ごとに受験をあきらめそうになりました。教科書や参考書を読むのをやめて、問題集中心、力学と電磁気学を中心に勉強しました。

化学

高校の教科書、チャート式を購入。加えて、「化学重要問題集」を購入。化学重要問題集は、A問題のみ解きました。直前期は、原子番号、化学結合・結晶、ヘスの法則や気体の状態方程式、電池、電気分解などの過去問で出題されていた6分野くらいに絞って、該当全分野を毎日1問ずつ解きました。

英語

整序英作文が良く出題されていましたので、文法の問題集と整序英作文の問題集を一応解きました。あんまり効果なかったかも。

2023年入試を受けてみて

着席

面接試験の順番を見て、出願者が14人いるらしいことは既にわかっていたのですが、試験会場に空席はなく、実際の受験者数も14人でした。誰か辞退してくれるはずと思っていたのですが。募集人員3名なので、11人落ちるわけですね。倍率4倍以上は完全にオワタ・・・。と試験前からあきらめムード。
試験開始直後、問題をざっと見て、数学の第1問、物理の第2問(2)~(4)は捨てる決断。その他の数学物理化学はしっかり解く戦略。英語で30分くらいは欲しいなって印象。

数学

2023年度の入試では第1問で数学Ⅲの微分が出題されたと思います。試験開始直後に不合格を確信しました。。。
第2問は立体図形、第3問は確率が出題された気がします。第1問のショックで第2問は解けたか覚えていません。なんとか第3問が解けたかなという手ごたえ。

物理

物理は大問が2つでした。第1問で「空気抵抗」という言葉が。小問(1)以外は解かない決断をしました。地上1000メートルの高さから落ちてくる雨粒の速度のみ計算。V²-V₀²=2a(X-X₀) を使って、V²=2×9.8×1000、V=140(m/s)とか?空気抵抗により平常心が保てなかった。 
第2問はオーソドックスな電磁気の基本問題でした(たぶん。)。電流、抵抗、消費電力なんかを計算したと思います。あまり勉強が進んでなかったので、キルヒホッフの法則をあらゆる閉回路にあてはめまくって、V=IRとP=IV=I²Rでとりあえず回答欄を埋めました。

化学

第1問が物質の性質。「ダイヤモンドが水に溶けるわけないやん」と心の中でツッコミつつ、第2問の電気分解へ。第1問と第2問の難易度が違いすぎる!と思ったのは私だけではないと信じたい。食塩の電気分解。20年以上も経つと食塩の化学式に自信が持てない。Naclだったような。電極は分解しないと問題に書いてある。そうすると、水か、食塩が分解されるような。電気分解は、たしか、陽極ではマイナスイオンが電子を放出して気体発生だったはず。だからH₂はない。O₂かCl₂のはず。O₂とCl₂が発生し得るときは、Cl₂が発生するってチャート式に書いてあったような。いつも食べてる食塩が塩素を発生させる危ない物質だったのかと試験中に驚きを隠せない。

英語

文章は難しくないのだけど、他の3科目ですでに時間を消費(浪費)した私には分量が多く感じた。内容を把握させるというよりも、質問に対する回答に該当する文章を抜きだせ、ということで、とにかく宝探しの時間。時間が足りず英語は3割くらい空欄になってしまった。

面接試験

物理と英語は回答欄が3~4割程度空欄という惨状。得点源の数学で大問1つ丸ごとわからないという惨状。2日目の面接は受験するか迷ったが、先人のブログにとりあえず面接にはいけ、とあったので、恥ずかしながら受験することに。
面接官3人対受験者1人。
「ホワイトボードにある問題を解いてください。」
次の問題から1題を選択し、回答せよ。検討時間、説明の時間を含めて7分。
1.線形代数がどうのこうの。(1)~(4)
2.マクローリン展開がどうのこうの。(1)~(4)
撃沈。もはや動揺を隠しきれず。約20秒で終了。
あまりの動揺に、その後の質疑応答の記憶がほとんどありません。。。

合格発表

ネットで合格者の番号が掲載されます。
募集人員より1名多く、4名合格していました。
よくわらからないけど自分の番号もありました。

ざっくりとですが、受験対策、受験当日のお話をさせていただきました。参考になれば幸いです。質問等あればお気軽にコメントください。

入学準備や履修準備についてまた書こうと思います。
お忙しいところご覧いただきありがとうございました。

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