12/23 街は色めき影は一層黒さを増す

クリスマスが近づくと,闇はその居場所を虐げられる.

夜は暗く,闇はこれを住処とする.
日の目を見ることのできない闇は1日のうち約12時間を光に明け渡され
その住処を紡いでいる.

しかし,クリスマスが近づくと,闇はその居場所を虐げられる.
クリスマスに湧く私たち人間は,闇のための夜ですら
光によってコントロールし,私たちの夜に意味を持たせる.
ただ暗く前が見にくい不便なこの夜という時間を
闇の住処であるこの夜を,強情にも我が物顔でキャンバスにする.
なんの意味のない夜の暗がりも,
クリスマス前には真っ黒なキャンバス早変わりする.

つくづく私たちは人間は強情だ.
光と共に昼を生きていく決心をしたと思えば
闇と共にその夜を楽しもうとする.
きっとアフラ・マズダもアンラ・マンユも困惑しているだろう.

しかし,夜の闇に光を灯すならば注意が必要だ.
闇は光ほどお人よしではない.
夜の光は,昼の光よりもいっそうに影を濃くする.
街は色めき影は一層黒さを増す.

私たちがクリスマスが近づき,その情景に色を寄せる傍ら
影はクリスマスが近づき,その心の陰により黒さを増すのだ.

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